シリアで長く宣教してきたイエズス会のフランス・ファン・デル・ルフト神父(
75 )が、7日、ホムスで殺害された。
フランス神父は武装した男たちに、他のキリスト教徒と共にいたブスタン・アル・デイワンの修道院から連れ出され、こめかみをピストルで撃たれて死亡した。
フランス神父は、シリアの内戦が拡大する中も、市民と苦しみを共にするためにホムスに残っていた。
フランス神父は 1966 年に宣教師としてシリアを訪れ、人々のために長年奉仕してきた。シリアの紛争でホムスでは早くから激しい内戦の場となり、政府軍による包囲が続いたが、フランス神父は、この地区にキリスト教徒が残っている限りは、同国を離れるつもりはないと話していた。
フランス神父は3ヶ月前にインターネットを通して国際社会にホムスの窮状を訴え、「イスラム教徒と共に、わたしたちは困難で痛ましい状況を生き、様々な問題で苦しんでいます。もっとも深刻な問題は飢えです」と述べていた。
バチカン広報局長でイエズス会士のフェデリコ・ロンバルディ神父は、フランス神父の死に「平和の人が亡くなりました。フランス神父は、長年彼がその人生と霊的奉仕を捧げたシリアの人々に忠実であり続けることを、勇気をもって望みました」と話した。
また、教皇庁東方教会省は、その声明で「フランス神父の模範と言葉が忘れられることがあってはならない」と記した。
ホムスに残るイエズス会士、ガッサン・サオイ神父は、バチカン放送局の電話インタビューで、フランス神父のミッションを振り返り、「平和の人、対話の人、皆から愛された人でした」と語った。
同神父は「わたしたちの使命は最後まで残ることです。何もわたしたちを怖れさせることはできません。むしろ、いろいろな模範がわたしたちに力を与えています。それはこの困難で複雑な状況の中で、わたしたちにとって光となっています」と話した。
また、フランス神父の訃報に多くの人が電話をくれ、皆が祈り、その死を悼んでいると、現地の人々の悲しみを伝えると共に、「フランス神父は満ち満てる命に入っていったとも言えます。彼は命をいつも人々に与え、自分の血をもって最後までそれを証ししたのですから」と述べた。
バチカン放送 2014/4/8
教皇フランシスコは、9日の一般謁見で、シリアの平和を願い、力強いアピールを行われた。
シリアのホムスで7日、フランス・ファン・デル・ルフト神父( 75 )が殺害されたことに、教皇は深い悲しみを表明。シリアで 50 年近く前から生活を始め、すべての人々に見返りを求めることなく愛をもって奉仕し、キリスト教徒からもイスラム教徒からも愛された、教皇と同じイエズス会士でもある、フランス神父の死を悼んだ。
フランス神父の残忍な殺害は心を重い苦しみで満たすと述べた教皇は、これはまた、愛するシリアであまりに長く続く流血の紛争と、そこで今も苦しみ、死んでいく多くの人々に思いを向けさせると述べた。
教皇はまたシリアで拉致された多くのキリスト教徒やイスラム教徒を思い起こしつつ、シリア人や外国人、司教や司祭を含むこれらの人々が一刻も早く家族や共同体のもとへ帰ることができるようにと願われた。
シリアと中東地域の平和のために一致して祈るよう教皇はすべての人を招くと共に、シリアと国際共同体の責任者らに、暴力と戦争、破壊に終止符を打ち、人権を尊重し、困窮した人々に手を差し伸べ、対話と和解を通して平和を求めるよう呼びかけられた。
バチカン放送 2014/4/9