CJC 通信 2011/05/16
「カトリック教会にラテン語ミサが本格的に復活か」 より、要旨・注釈
バチカン教理省(のエクレジア・デイ委員会)は、 5
月 13
日、全世界のカトリック司教に向けて、伝統主義のカトリック者のために、昔ながらのラテン語によるミサを司祭が執行することを許可するとの教皇自発教令「
スンモルム・ポンティフクム( Summorum
Pontificum )」 に、賛否に関わらず従うべきだという指示、「ウニヴェルサエ・エクレシアエ(
Universae Ecclesiae )
」を出しました。
第2バチカン公会議では、ミサを現地語で行うように定めましたが、 2007
年には、それまでのラテン語によるミサ(通称「トリエント・ミサ」)も特例として行って良いとする教皇自発教令「
スンモルム・ポンティフクム 」
が出されており、今回の指示はそれを再確認し、さらに強化したものです。
第2バチカン公会議の決定にも関わらず、伝統主義の保守派(たとえば「ピオ 10
世会」)はラテン語ミサの実施を要求し、その指導者は前教皇ヨハネ・パウロ 2
世によって破門されています。
現教皇ベネディクト 16 世は 2005 年の着座以来、伝統主義者の声に耳を傾け、それに応える形で 2007 年に上記の教令を発しました。
今回の「指示」は、その教皇自発教令が、破門された伝統主義者への応答であるばかりでなく、多くの信徒からの正当な要求に対する応答であり、典礼尊厳を増進し、カトリックの教義の継続性を確実にする手段でもある、としています。
今回の「指示」に困惑する司教もいます。ラテン語でミサを行える司祭が少なく、現実に信者が望んだとしても、日程の中にラテン語ミサを入れることが出来ない、と頭を抱えます。
(編集注: 「指示」の中では、今後は神学校でラテン語とトリエント・ミサをしっかり教え、司祭は皆、 トリエントミサを「正確なラテン語」で、「正しく」行えるよう要求されています。)
バチカン当局者が漏らしたところでは、バチカンからの調査に回答した司教は僅か3分の1だったということです。
ラテン語ミサは、懐古趣味で堅苦しく、時代に合わせて第 2
バチカン公会議が行った改革を後戻りさせるもの、とするカトリック者も少なくありません。
(以上)