「学び合いの会-海外ニュース」 367号(160913)

 

† 主の平和

 

先日のポーランド訪問の際、教皇フランシスコはクラコフで

イエズス会士たちと懇談し、イグナチウス・ロヨラの「霊操」

に示された「識別」の業を教区司祭に伝えるよう勧めました。

 

これについては当時、バチカンは広報しませんでしたが、

後にイエズス会の雑誌に掲載された報告を、CNS が記事

にしました。

仲間の翻訳を添付します。

 

添付記事

1. 「教区司祭に識別の実践教育を」 

                         教皇、イエズス会士に求める (CNS

「教区司祭に識別の実践教育を」 教皇、イエズス会士に求める

シンディ・ウッデン 2016/8/25 CNS(Catholic News Service)

 

ローマ発(CNS):キリスト者の生活の場で、現実の問題について助言を求める人に、司祭として応じることを困難にする、或いは不可能にさえする厳格な規則のリストを学生に教える神学校が多すぎると教皇フランシスコは語った。

 

「司祭の養成プログラムの中には、初めから答えがあって紛れる余地のない結論に基づいた教育により、(将来彼らが)先験的(アプリオリ)に厳しく規定された限界と基準に縛られて、具体的な状況を顧みることなく行動するようになる危険を冒しているものがあります。」

ワールド・ユース・デーの期間中、クラコフで行われた28人のポーランドのイエズス会士との懇談の席上、教皇はこのように語った。

 

7月30日に行われた、この教皇とイエズス会士との会合について、バチカンは詳細を発表していないが、イエズス会士グループへの教皇のコメント内容は(明らかに教皇フランシスコの承認のもとで)8月下旬、イエズス会の定期刊行物であるCivilta Cattolicaに発表された。これは出版に先立ってバチカンの検閲を受けている。

 

コメントの記録によれば、教皇はイエズス会士らに対して、教区の神学校や教区司祭たちのもとに赴いて活動し、イエズス会の創立者である聖イグナチウス・ロヨラが教えた、祈りと配慮に満ちた識別のわざを分かち合うよう求めた。

 

「今日の教会は、霊的識別の力によって成長することが必要です。」と教皇はポーランドのイエズス会士に語った。

 

聖イグナチウス・ロヨラは霊操の中で、人々が、自分の生活の中のどこに神が働いているか、何が自分たちをより神に近づけ、あるいはより遠ざけるのかを認識または識別する助けとなるステップを示している。聖イグナチウスによれば、何が道徳的で、何が非道徳的であるかを知ることは大切だが、生活の中でいま何が起きつつあるかを知ることは、これから先、実際に進む道を識別する手助けになるという。

 

「識別の知恵」がなければ、とクラコフで教皇は言った。「神学生たちが司祭になったとき、非常に多くの若者や大人と接して、生活を共に歩むことが困難になるでしょう。」

 

「そして、多くの信者が、失望して告解場を去ることになります。それはその司祭が悪いからではなく、彼には、状況を識別し、正しい識別によって人々と共に歩む力がないからです。彼らには必要な教育が欠けているのです。」

 

信徒の中にも霊的指導への召命を受ける人はいるが、「信徒の良心の秘密を委ねられる」機会は司祭の方が多いから、神学生や神父は、特に識別を会得する必要があるというのだ。

 

「繰り返しますが、あなたがたは司祭に、とりわけこのことを教え、司牧的識別の原動力としての霊操という観点から、彼らを助けなければなりません。司牧的識別は、法を重んじますが、いかにしてその範囲を超えるのかについても知っているのです。」と教皇は語った。

 

「わたしたちは、次のことを本当に理解する必要があります … 生活の中では、全てが白黒はっきりしているとは限りません」と教皇は言う。「生活にはグレーの部分が多いのです。

司祭たちには、このグレーゾーンの中でどのように識別するかを教えなければなりません。」

 

クラコフでのイエズス会士との懇談の際、教皇フランシスコは、彼の家庭に関する使徒的勧告「愛のよろこび」("Amoris Laetitia")には触れなかったが、この文書は、家庭にとっても、また家族の霊的指導にとっても、識別が大切なことを繰り返し語っている。

 

教会論の教授であるスペイン人のSalvador Pie-Ninot神父は、この勧告の中で教皇は、35回も識別の必要性に言及していると8月24日のバチカンの新聞に書いている。

 

教皇はこう書いている。ことに、離婚して民法上再婚した個々のカトリック信者に対処するとき、識別によって次のように悟ることが出来る。「すべてのケースで責任の程度は同じとは限らないのだから、法規が与える結果と影響がいつも同じであるとは限らない。司祭には、その(離婚して再婚した)人たちが、教会の教えと司教の示す指針に照らして自分の状況を理解するよう手助けをしながら、彼らと共に歩む義務がある。」

 

(以上)

 

 

Pope asks Jesuits to educate diocesan clergy in practice of discernment

By Cindy Wooden Catholic News Service

8.25.2016 

 

ROME (CNS) -- When it comes to the Christian life, too many seminaries teach students a rigid list of rules that make it difficult or impossible for them as priests to respond to the real-life situation of those who come to them seeking guidance, Pope Francis said.

 

"Some priestly formation programs run the risk of educating in the light of overly clear and distinct ideas, and therefore to act within limits and criteria that are rigidly defined a priori, and that set aside concrete situations," the pope said during a meeting with 28 Polish Jesuits in Krakow during World Youth Day.

 

The Vatican did not publish details of the pope's meeting July 30 with the Jesuits, but -- with Pope Francis' explicit approval -- a transcript of his remarks to the group was published in late August by Civilta Cattolica, a Jesuit journal reviewed at the Vatican prior to publication.

 

According to the transcript, the pope asked the Jesuits to begin an outreach to diocesan seminaries and diocesan priests, sharing with them the prayerful and careful art of discernment as taught by St. Ignatius of Loyola, founder of the Jesuits.

 

"The church today needs to grow in the ability of spiritual discernment," the pope told the Polish Jesuits.

 

In his spiritual exercises, St. Ignatius provided steps for helping people recognize -- or discern -- where God is working in their lives and what draws them closer to God or pushes them further from God. For St. Ignatius, knowing what is moral and immoral is essential, but knowing what is going on in people's lives helps identify practical ways forward.

 

Without "the wisdom of discernment," the pope said in Krakow, "the seminarians, when they become priests, find themselves in difficulty in accompanying the life of so many young people and adults."

 

"And many people leave the confessional disappointed. Not because the priest is bad, but because the priest doesn't have the ability to discern situations, to accompany them in authentic discernment," the pope said. "They don't have the needed formation."

 

While some laypeople also are called to provide spiritual direction, priests are more often "entrusted with the confidences of the conscience of the faithful," so seminarians and priests particularly need to learn discernment.

 

"I repeat, you must teach this above all to priests, helping them in the light of the exercises in the dynamic of pastoral discernment, which respects the law but knows how to go beyond," the pope said.

 

"We need to truly understand this: in life not all is black on white or white on black," he said. "The shades of grey prevail in life. We must them teach to discern in this gray area."

 

Pope Francis did not mention his apostolic exhortation on the family, "Amoris Laetitia," ("The Joy of Love"), in his talk with the Jesuits in Krakow, but the document repeatedly referred to the importance of discernment for families and for their spiritual guides.

 

Father Salvador Pie-Ninot, a Spanish professor of ecclesiology, wrote in the Vatican newspaper Aug. 24 that the pope referred to the need for discernment 35 times in the exhortation.

 

Especially when dealing with individual Catholics who have been divorced and civilly remarried, Pope Francis wrote, discernment recognizes that, "since the degree of responsibility is not equal in all cases, the consequences or effects of a rule need not necessarily always be the same. Priests have the duty to accompany (the divorced and remarried) in helping them to understand their situation according to the teaching of the church and the guidelines of the bishop."

 

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http://www.catholicnews.com/services/englishnews/2016/pope-asks-jesuits-to-educate-diocesan-clergy-in-practice-of-discernment.cfm