「学び合いの会-海外ニュース」 354号(160606)

 

† 主の平和

 

ミサ典礼文の邦訳改訂作業は、何年もかかって一向に進み

ませんが、フランスでも同じような状況のようです。

そのあたりの事情を窺わせる記事が、「ローマとのバトル・

ロワイヤル(暗闘)」という過激(?)な表現を使って、英国の

カトリック誌のタブレットに掲載されています。

仲間の共訳でお届けします。

 

添付記事

1. フランスのカトリック、

     ミサ典礼文の翻訳めぐりローマと暗闘(Tablet)

 

 

 

フランスのカトリック、ミサ典礼文の翻訳めぐりローマと暗闘

トム・ヘネガン 2016/5/30 Tablet

 

バチカンは、新しいラテン典礼文の正確な翻訳に固執

 

フランス語圏のカトリックは、ローマミサの翻訳を巡り、英語圏の仲間たちが5年前に闘い、敗れたのと同じような激しい攻防(バトル・ロワイヤル)に直面しようとしている。典礼文の英訳の場合と同じように、バチカンは、2002年に認可された新しいラテン語典礼文の正確な翻訳に固執しているのだ。 

 

準備中の新しい典礼文は、第2バチカン公会議後に作られた最初の訳文と置き換えられる予定で、この先半世紀にわたり、ヨーロッパ、カナダ、アフリカ、カリブ海のフランス語圏で使われることになる。司教団が出した第一稿は、2007年にバチカンから拒否された。

 

フランスのカトリック系日刊紙ラ・クロワ(La Croix)によれば、フランス語圏のいくつかの地域、特にベルギー、カナダ、スイスの司教協議会は、最近出来た翻訳は大げさなところや不自然なところがあると異議を唱えているという。フランスの司教たちはさほど批判的ではないが、未だに態度を保留している。

 

しかし、バチカン典礼秘跡省長官のロベール・サラ枢機卿は、フランスのカトリック系週刊誌キリストの家族(Famille Chrétienne )の取材に答え、最近、教皇フランシスコが同枢機卿に対して、「ミサ典礼文の新しい翻訳はラテン典礼を完全に尊重する物でなければならない」と命じたと述べた。

 

一番最近の典礼文は “consubstantial” (訳注:三位一体論における“同一本質”)という形容詞を使っている。英語圏の人たちは、新しいミサ典礼文でこの形容詞に出会うことになった。また、以前フランス語では、“Yes, I have truly sinned” (はい、わたしは本当に罪を犯しました)と訳されていた部分は、“through my fault”(わたしの咎によって)という訳に戻されている。

 

訳注: consubstantial: ラテン語のニケア・コンスタンチノープル信条で「造られることなく生まれ、父と一体(Genitum, non factum, consubstantiálem Patri)」に使われている“consubstantiálem”の直訳。

 

(フランス語訳の)カリスに関しては、現在の “coupe”という言葉が以前の “calice” に戻される。これは、激昂したフランス系カナダ人が使う罵りの言葉になってしまった。

奉献文の導入となる「“Orate fratres”(祈りましょう)」の翻訳は、堅苦しくて朗唱しにくいものに変わった。

 

その一方で、主の祈りの翻訳の変更は、問題なく受け入れられている。現在使われているフランス語の祈りは、“do not submit us to temptation”(わたしたちを罪に服従させることなく)とあり、これでは神が人々とを罪へと誘う意味になってしまうと神学者たちは言っている。新しい訳文は、“do not let us enter into temptation”(わたしたちを誘惑に陥らせず)となっており、これはフランスのプロテスタントも支持している。

 

(以上)

FRENCH CATHOLICS FACE BATTLE ROYALE 

OVER ROMAN MISSAL TRANSLATION

30 May 2016 | by Tom Heneghan Tablet

 

Vatican insisting on a precise translation of a new Latin text

 

The French-speaking Catholic world is heading for the same tug-of-war over translating the Roman Missal that their English-speaking cousins fought and lost five ago. As in the case of the English text, the Vatican insists on a precise translation of the new Latin text approved in 2002. 

 

The planned new text, meant to replace the first translation made after the Second Vatican Council, will be used in the French-speaking parts of Europe, Canada, Africa and the Caribbean for the next half-century. The bishops’ first draft was rejected by the Vatican in 2007.

 

Several francophone bishops conferences, especially in Belgium, Canada and Switzerland, have raised objections to the latest text that they find pompous and unnatural, the French daily La Croix reported. The French bishops are less critical, but still have reservations.

 

But Cardinal Robert Sarah, prefect of the Vatican’s Congregation for Divine Worship and the Discipline of the Sacraments, told the French magazine Famille Chrétienne that Pope Francis had recently told him “the new translations of the Missal must absolutely respect the Latin text.”

 

The latest text introduces the adjective “consubstantial” that English speakers discovered in their new Missal, and brings back the “through my fault” sequence that had been replaced by “Yes, I have truly sinned” in French. 

 

For the chalice, it turns the current word for chalice “coupe” back to the older “calice”, which has become a swear word for exasperated French Canadians. The introduction to the Offertory (“Orate fratres”) has become stilted and hard to recite.

 

By contrast, a change to the Lord’s Prayer has been well received. The currently used French prayer now says “do not submit us to temptation”, which theologians say implies that God tempts people to sin. The new translation, which France’s Protestant churches also support, says “do not let us enter into temptation”.

 

http://www.thetablet.co.uk/news/5621/0/french-catholics-face-battle-royale-over-roman-missal-translation