「学び合いの会-海外ニュース」 349号(160502)

 

† 主の平和

 

教皇フランシスコは先日、ローマでの「アース・デイ」の

イベントに飛び入り参加して参加者を激励しました。

即興のスピーチにはアルゼンチン時代の自身の体験

が色濃く反映されているようです。

このスピーチの翻訳を添付します。

 

添付記事

1. 教皇フランシスコ:「対立に背を向けず、

        友情のために働き、拝金主義を捨てよ」 

 

以上

 

 

教皇フランシスコ:「対立に背を向けず、友情のために働き、拝金主義を捨てよ」

 

ローマ発: 教皇フランシスコは日曜日、ローマの有名な公園で行われたアースデイ(訳注:地球の日=地球環境について考える記念日)のイベントに突然姿を見せた。

 

イタリアの祭日と重なる週末、ヴィラ・ボルゲーゼを散策する人々の間に現れた教皇は、エコロジカルなくらしを実践するために、都市の中に一時的な村を作る計画の第一歩を踏み出すためのパネルディスカッションに参加した。

 

教皇フランシスコは彼らの取り組みを称賛し、出席した人々に、あなた方は現代の都市という砂漠を、より人間生活に適した森へと変える手助けをしていると述べた。教皇は、人々が互いに親しく交わり、対立を恐れず、宗教、文化の違いを乗り越えて共に働く必要性について語った。

 

教皇はまた、「拝金主義(お金を神のように崇める態度)」を厳しく批判し、「お金を崇拝し、そこに擦り寄ることが出来る人は富を手に入れるが、それが出来ない人は、飢えや病気、搾取の中に留まってしまう。」と語った。

 

以下は、教皇が事前準備なしに語ったスピーチの翻訳である。

 

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皆さんの話を聞き、二つのイメージを思い浮かべました。それは「砂漠」と「森」です。

わたしはこう考えました。この人たち ― みなさんは、砂漠を森へと変えようとしているのだ。彼らは、砂漠になった場所、希望のない場所へと出向き、砂漠が森になる手助けとなるものを創り出すのだ …。

 

森は木々で満たされていて、緑で一杯ですが、一方では秩序に欠けています。しかし、それこそが「いのち」なのです! あなた方が進めている仕事 ―砂漠から森への移行― はすばらしい仕事です。あなた方は砂漠を森へと変えようとしています! そしてやがては、森の中に秩序をもたらすやり方も分かってくることでしょう。…しかし、そこにはいのちがあります。ここ(砂漠)にはありません。砂漠にあるのは「死」です。

 

都市にはたくさんの砂漠があります。未来のない人々のくらしの中にはたくさんの砂漠があります。なぜなら …次の言葉を強調したいのですが… そこにはいつも、「偏見」と「恐怖」があるからです。このような人々は都市の砂漠の中で生き、そして死ななければならないのです。みなさんは砂漠を森に変えるという仕事で奇跡を起こすのです。ためらわずに前へ進んで下さい。

 

しかし、その仕事の計画がどのようなものか、わたしは知りません。わたしたちに何ができるかを一緒に考えましょう。これがいのち(人生)なのです。わたしたちは、いのちをあるがまま受け止めるしかないのですから。それはサッカーのゴールキーパーのようです。蹴られてくるボールを受け止めるのです。ボールはそこかしこから飛んできます。いのちを恐れる必要はありません。対立を恐れる必要はありません。

 

こんなことを聞いたことがあります。本当かどうか知りませんが …真偽を調べたことは無いのです… 中国の言葉で「対立(conflict:危機)」は、二つの漢字で成り立っているそうです。一つは「危険(risk)」を表す漢字、もう一つは「機会(opportunity)」を表す漢字です。確かに、対立は危険でありまた好機でもあります。

 

わたしたちは、対立を自分とは無関係のことのように考えることもできます。「いや、対立は対岸の出来事だ。近づかないでいよう。」わたしたちキリスト者は、道に倒れた哀れな男に対するレビ人や祭司の振舞いをよく知っています。二人は男を見ないように、そして近づかないようにして通り過ぎたのです。

 

危険を冒そうとしない人は、決して現実に近づくことは出来ません。現実を知るためには、まして、現実を心から理解するためには、その現実に近づくことが必要です。近づくことは危険を伴いますが、それは好機でもあります。わたしにとっても、また、わたしが近づく人にとっても好機なのです。わたしと、わたしが近づく共同体にとっても同じです。

 

あなた方が、その働きの全てで示してきた証し、たとえば刑務所で行ったことなどをわたしは思い起こしています。対立 … 決して、決して、対立に背を向けてはなりません。対立を引き受けなければなりません。悪を引き受け、解決しなければなりません。

 

砂漠は醜いものです。それはわたしたち皆の心の中にあります。都市の中の見捨てられた場所にあります。それは醜いものです。しかし、砂漠を森に変えるためには、砂漠に入っていくことを恐れてはなりません。有り余るほど豊かないのちがそこにあります。わたしたちは多くの人々の涙を乾かし、多くの人々に微笑みをもたらすために出かけていくことができます。

 

これは、イスラエルの民がバビロンに捕われた時の詩編を思い出させます。彼らはこう歌いました。「どうして(わたしたちの歌を)歌うことができようか。(主のための歌を)異国の地で。」(訳注:詩編137)彼らは楽器を携えていましたが、異国の地で捕虜になっていた彼らには喜びはありませんでした。

 

しかし、彼らが解放されたときの詩編にはこう歌われています。「わたしたちは夢を見ている人のようになった。そのときには、わたしたちの口に笑いが、(舌に喜びの歌が)満ちるであろう。」(詩編126) そしてこの、砂漠から森への変容のとき、いのちに移り変わるときも、そこには微笑みがあるのです。

 

あなた方に宿題を差し上げます。或る日、町に出て、通りの人々の顔を見て下さい。人々は不安気で、誰もが自分の中に閉じこもり、微笑みも無く、優しさも無い … 一言で言えば「社会的友情」… わたしたちはこの社会的友情(連帯感)を失っているのです。

 

社会的友情のないところには、憎しみがあり、戦争があります。わたしたちは、至るとこで起きている「切れ切れの第3次世界大戦」の中で生きています。世界地図を見ればそれが理解できるでしょう。しかし、社会的友情は赦しによって創り出せます。

… 最初の言葉は「赦し」です。あなた方は、「近づく」ことで何度でもそれが出来ます。

あの問題に、あの対立に、あの困難に、近づくのです。

 

まだほかにもあります … それは「無償」ということです。あなたがたは無償で社会的友情関係を築きます。そして、この無償という知恵を、スポーツやゲームを通して学びます。

芸術を通して学び、近づき、共にいる喜びを通して学びます。

 

無償という言葉は、この世界にあって忘れてはならない言葉です。この世界では、「支払う」ことの出来ない人は生きていけないように思われます。神は、人間(男と女)を、真に世界の中心になるように、また真に経済の中心となるように創造されたはずなのに、人間はその中心から追い出され、そこには(代わりに)美しい神がいます。「お金」という神です。

 

今日、お金という神が世界の中心に置かれています。そして、お金を崇拝し、そこに擦り寄ることが出来る人は富を手に入れますが、それが出来ない人は、飢えや病気、搾取の中に留まるのです。搾取に利用されている子どもや、若者たちのことを考えてみて下さい。

 

「無償」、これがキーワードです。無償とは「はい。わたしは他者と共に歩むために、あるがままのわたしの人生を捧げ、この砂漠を森に変えます。」と宣言することです。無償、それは美しいものです。

 

そして「赦し」… 赦すことも素晴らしいことです。なぜなら敵意も恨みも赦しと共に消え去るからです。そして、そこにはいつも建設があります。破壊ではなく、建設です。

 

These are the things that came to mind. And how do you do this? 

Simply in knowing that we all have something in common; we are all human. And in this humanity we can get close to work together. 'But I am of this religion, of that one...' It does not matter! Go ahead to work together. Respect each other; respect each other! And then we will see this miracle: the miracle of a desert become a forest.

 

以上が、わたしの心に浮かんだことです。いかがでしょうか? 

ただ、わたしたち皆に共通するものがあることに気付いて下さい。わたしたちは皆人間です。そして、この人間性において、わたしたちは近づき、共に働くことができるのです。「でも、わたしはこの宗教です。わたしはあの宗教です …」そんなことは問題ではありません。一緒に働きましょう。互いを敬いましょう。尊敬し合いましょう! そのとき、わたしたちはその奇跡を見ることでしょう。砂漠が森に変わる奇跡を。

 

皆さんの働きに感謝します。ありがとう。

 

(以上)

 

 

 

Francis: Don't turn away from conflict, work for friendship, reject god of money

Joshua J. McElwee  |  Apr. 25, 2016 NCR Today

 

ROME Pope Francis made a surprise visit to a popular park in Rome Sunday for an event marking Earth Day.

 

Appearing amidst people strolling in Villa Borghese over an Italian holiday weekend, the pontiff took part in a panel discussion for the launch of an initiative to create a temporary village in the city to demonstrate more ecological ways of living.

 

Francis lauded the effort, telling those present that they are helping transform the deserts of modern day cities into forests more fit for human life. The pope spoke about the need for people to get close to one another, to not fear conflict, and to work together despite differences of religion or culture.

 

The pontiff also lambasted the "god of money," saying "those that can get close to adore this god get close, and those that cannot end up in hunger, sickness, exploitation."

 

Following is a translation of the pontiff's remarks, given off the cuff.

 

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Listening to you speak, two images came to me: the desert and the forest. I thought: these people, all of you, are taking the desert to transform it into a forest. They go where there is desert, where there is no hope, and make things that help the desert become a forest.

 

The forest is full of trees, full of green, but also disorganized -- but so is life! Moving from the desert to the forest is a beautiful work that you are doing. You are transforming deserts into forests! And then you will see how you can regulate certain things of the forest -- But there, there is life. Here no. In the desert there is death.

 

Many deserts in cities, many deserts in the lives of people without futures, because there is always -- and I underline a word said here -- there are always prejudices, fears. And these people must live and die in the desert of the city. You all make the miracle with your work of changing the desert into forest: Keep going ahead with it.

 

But how is your plan of work? I don't know. Let's get closer together and see what we can do. This is life! Because you have to take life as it comes. It is like the goalkeeper in soccer: picking the ball up from where they throw it, coming from here to there. There's no need for fear of life, fear of conflicts.

 

Someone told me once -- I don't know if it is true ... I have not investigated whether it is true or not --- that the word for conflict in the Chinese language is made of two characters: One that says 'risk' and another that says 'opportunity.' Conflict, it is true, is a risk but is also an opportunity.

 

We can take conflict like a thing from which to distance ourselves: 'No, over there is a conflict, I will stay away.' We Christians know well what the Levite did, what the priest did, with the poor man fallen on the street. They made a street not to see, not to get close to.

 

Whoever doesn't risk can never get close to reality: to know reality, even to know it with the heart, it is necessary to get close to it. Getting close is a risk, but also an opportunity: for me, and for the person I get close to. For me and the community I get close to.

 

I think of the testimonies that you have given, for example in the prison, with all your work. Conflict: Never, never, never, turn yourself away to not see the conflict. Conflicts must be taken on; bad things must be taken on to resolve them.

 

The desert is ugly -- that which is in the heart of all of us, that which is in the city, in the peripheries -- it is an ugly thing. .... But we must not fear going into the desert to make it into a forest; life exuberant is there, and you can go to dry many tears so that many may smile.

 

It makes me think of that Psalm of the people of Israel when they were in exile in Babylonia and they said: 'How can we sing our songs when we are in a foreign land?' They had the instruments, there with them, but they did not have joy because there were hostages in a foreign land.

 

But when they were freed, says the Psalm, 'we could not believe it, our mouths were filled with smiles.' And so it is in this transition from desert to forest, to life, there is the smile.

 

I'll give you a work to do at home: Look one day at the face of people when they're out on the street. They are worried, each one closed into themselves, lacking a smile, lacking tenderness -- in other words, social friendship; we are missing this social friendship.

 

Where there is not social friendship, there is hatred, war. We are living a 'third world war in pieces,' everywhere. Look at the map of the world and you will see this. But the social friendship, you make it with forgiveness -- the first word -- with forgiveness. Many times you do it by getting close: I get close to that problem, that conflict, that difficulty...

 

And there is also another thing ... gratuitousness. You do social friendship with gratuitousness, and this wisdom of gratuitousness you learn in sport, in game, with art, with the joy of being together, getting close.

 

It is a word, gratuitousness, to not forget in this world, where it seems like if you do not pay you do not live, where the person, man and woman, that God has created truly as the center of the world, for being truly at the center of the economy, are chased out and at the center we have a beautiful god, the god of money.

 

Today at the center of the world there is the god of money and those that can get close to adore this god get close, and those that cannot end up in hunger, sickness, exploitation. Think of the exploitation of children, of young people.

 

Gratuitousness: It is it the keyword. Gratuitousness that says yes I may give my life as it is to go with others and make this desert become a forest. Gratuitousness, this is a beautiful thing!

 

And forgiveness, also, forgiving. Because rancor, resentment go far away with forgiveness. And then always constructing, not destroying; constructing.

 

These are the things that came to mind. And how do you do this? Simply in knowing that we all have something in common; we are all human. And in this humanity we can get close to work together. 'But I am of this religion, of that one...' It does not matter! Go ahead to work together. Respect each other; respect each other! And then we will see this miracle: the miracle of a desert become a forest.

 

Thank you so much for all that you do. Thank you.

 

[Joshua J. McElwee is NCR Vatican correspondent. His email address is jmcelwee@ncronline.org. Follow him on Twitter: @joshjmac.]

 

http://ncronline.org/blogs/ncr-today/francis-dont-turn-away-conflict-work-friendship-reject-god-money