「学び合いの会-海外ニュース」 348号-2(160412)

 

† 主の平和

 

家庭をテーマにした2回のシノドスを受けて、教皇の使徒的勧告、

「愛のよろこび」(仮題)が先週末発表されました。

 

内容の詳細については、カトリック中央協議会が全文の邦訳を

進めていますので、それを待つことになりますが、今号では、

 

○ バチカン放送が伝える、使徒的勧告の「内容の要約」

○ 発表直後の反響

○ シノドスで議論が白熱した問題は勧告にどう反映されたか

  …以上について、3件の記事を添付します。

 

添付記事

(1) 使徒的勧告「愛のよろこび」の概要(バチカン放送)

(2) 各方面の反響(NCR : Religion News Service)

(3) 「使徒的勧告が離婚・再婚者に聖体拝領の道を開く」

                     

(2)家庭生活に関する教皇の総括(使徒的勧告)への反響

 

NCR(ナショナル・カトリック・リポーター)は、家庭生活に関する教皇フランシスコの総括(使徒的勧告)Amoris Laetitia(愛の喜び)への反応を包括的に報道している。この使徒的勧告は、ローマ時間の4月8日正午(東部標準時、午前6時)に発表された。NCRのスタッフは、教皇の家庭生活についての考え方、及び家庭について討議するために招集された2回のシノドス(世界司教会議)の総括に対する分析と反応を収集する作業を行っている。

使徒的勧告の全文を分析する作業と並行して、反響の中から主なものを以下に紹介する。

 

◇◆◇

 

教皇のことばをめぐり称賛、落胆、混乱…

キャシー・リン・グロスマン Religion News Service

 

教皇フランシスコの膨大な文書、使徒的勧告「愛の喜び」が4月8日に発表された。この中では、結婚、離婚、そしてLGBTの生活に関して、以前と変わらぬ教義が優しい言葉に包まれており、アメリカのカトリック信者の間に複雑な反響を呼んでいる。

 

一方では、教皇フランシスコが教義(ドグマ)を緩めてしまうのではないかと恐れていた保守的なカトリック信者に喜びをもたらすことになったが、他方では、言葉だけに留まらない具体的な変化を望んできた改革主義者たちの反応はそれほどではなかった。双方の立場からの意見があふれかえっている。一つの例を挙げる。

 

全米カトリック司教協議会議長のジョセフ・カーツ ケンタッキー大司教はこの勧告を、「家族として生き愛するという教会の宣教使命をさらに実現していくようにと『夫婦と家庭に宛てたラブレター』であると称えた。「教皇は、結婚のすばらしさのすべてを、聖書を通して明らかにし、キリストが克服できない障害などないと明らかにしたのだ。」

 

HRC(the Human Rights Campaign:人権運動全国組織の民間団体)は、教皇のいつくしみの大聖年に発せられたこの文書の内容が、LGBTのカトリック信者のより完全な受け入れに繋がることはなかったことに失望したと、同団体の上席副議長のメアリー・ベス・マクスウェルが語った。彼女は、「全国のカトリック家庭や小教区では、わたしたちたちをあるがままに、教義の故に裁いたり排斥したりせずに受け入れるところが次第に増えてきている」ことを知り、そこになぐさめを見出していると言う。

 

保守派のカトリックライターのジョージ・ウィゲルは、ナショナル・レビュー誌で、全体を通して、教会の教えは聖性と幸福の両方のための仕組みを提供できるのだという一筋の糸が貫かれているとの理解を示している。ウィゲルは次のように述べている。

「そこには、愛と結婚と家庭に関する大切なことが書かれている。そして現代の世界では、自分勝手に振る舞う強大な自己があらゆることを完全に無視し、その結果、多くの人間の不幸がそのまま残されている。その現代世界の文化的危機のことが書かれているのだ。」

 

避妊支持・中絶権擁護のグループであるCatholics for Choice(選択の自由を求めるカトリック)は、「アメリカのカトリック信者のほとんどは、教会からの承認を待ってはいない。」と指摘する。委員長のジョン・オブライエンは、教皇フランシスコの司牧的取り組みをこう考えている。「それは新鮮な空気を呼吸するように感じるが、司牧的なやり方で教会法について語るだけでは教義は変えられない。また、カトリック信者の現実の習慣も変わらないだろう。」

 

カトリックの出版物の分析も、取り上げるテーマはまちまち

 

The National Catholic Register 誌は、この文書全体を貫く異なった糸(筋道)にハイライトを当てた。その糸とは、曖昧な司牧的指示によって、明快な規則に立脚した伝統的な考えを混乱させ、保守派を不安に陥れるというものである。「教皇フランシスコは、『判断を避ける必要性』(need to avoid judgments)の章で、『様々なシチュエーションの複雑さ』に捉われてはならないと述べ、『すべての人に手を差し伸べる』ことの必要性を強調している。そして、離婚した人々を『あまりにも固定化した階層』に仕分けして、司牧的かつ人間的な識別をする余地をなくしてはいけない、とも述べている。」

 

 

 

 

 

Reactions to pope's reflection on family life

 

Come to NCR for comprehensive coverage of reactions to Pope Francis reflection on family life, Amoris Laetitia (“The Joy of Love”). The apostolic exhortation was released at mid-day in Rome April 8 (6 a.m. Eastern time). NCR reporters are at work gathering analysis and reactions to the pope’s reflections on family life and the two world synod of bishops he called to discuss families.

While we are working on a full story, read some of the initial reactions here.

 

◇◆◇

 

Applause, dismay, confusion over pope's words

Cathy Lynn Grossman, Religion News Service 

 

Pope Francis' "Joy of Love", a massive document released April 8 that wraps unchanged doctrine on marriage, divorce, and LGBT life in gentle terms, is getting a mixed reaction from U.S. Catholics.

 

It brought joy to conservative Christians who feared Francis would tamper with dogma, but less love from liberals who had hoped for a change in practices, not simply in tone. Statements flooded out from both directions. A sampling:

 

Archbishop of Kentucky Joseph Kurtz, president of the U.S. Conference of Catholic Bishops, extolled it as "love letter to married couples and families" to realize more and more her mission to live and love as a family. " The pope traces through the Bible all the beauty of marriage and that "no obstacle is to big for Christ to overcome."

 

The Human Rights Campaign was "disappointed" that the document, issued in the pope's Year of Mercy, did not translate into fuller inclusion for LGBT Catholics, said Mary Beth Maxwell, an HRC senior vice president. She found consolation in knowing that "in a growing number of Catholic families and parishes all across this country we are welcomed for who we are, not judged or excluded because of doctrine."

 

Conservative Catholic writer George Weigel, in the National Review saw a thread throughout that church teachings can offer a structure for both holiness and happiness. He wrote that it says "many important things about love, marriage, the family, and the current cultural crisis of a world in which the imperial autonomous Self is running roughshod over just about everything, leaving a lot of human unhappiness in its wake."

 

Catholics for Choice, a pro-contraception and a abortion-rights group, pointed out that most US Catholics were not waiting for approval from their church. President Jon O'Brien calledFrancis' pastoral approach "a breath of fresh air… But talking about the law in a pastoral manner does not change doctrine, and it will not change the real practice of Catholics."

 

Analysis by Catholic publications also divided on which themes to highlight.

 

The National Catholic Register highlighted a different thread through the document, one that might disturb conservatives by muddying up traditionalist ideas of clear rules with unspecified pastoral discretion: “Francis speaks in the chapter of a ‘need to avoid judgments’ that don’t take account of the ‘complexity of various situations’ and stresses the need of ‘reaching out to everyone.’ The divorced, he writes, should not be pigeonholed in ‘overly rigid classifications,’ leaving no room for personal and pastoral discernment.”

 

http://ncronline.org/blogs/ncr-today/reactions-pope-s-reflection-family-life