「学び合いの会-海外ニュース」 345号(160304)

 

† 主の平和

 

聖職者による児童虐待報道を扱った映画「スポットライト」が

今年度のアカデミー作品賞と脚本賞を受賞しました。

メディアはこのニュースを大きく取り上げましたが、バチカンの

意向を反映する新聞オッセルバトーレ・ロマーノは、この映画

をどちらかと言えば肯定的に評価しています。

今回はこの記事と、困窮者・移住者への援助と引き換えに

信仰を押しつけることを戒める教理省長官の談話記事の2つ

を添付します。

 

添付記事

1. 「スポットライト」は反カトリック映画ではない-バチカン紙

2. ミュラー枢機卿:「愛の目的は証しであり改宗ではない。」 

         (いずれもCNS - カトリック・ニュース・サービス) 

注 このページには2.だけを掲載します。

 

以上

ミュラー枢機卿:「愛の目的は証しであり改宗ではない。」

ジュンノ・アロウチョ・エステベ CNS(カトリックニュース・サービス)2016/2/25

 

バチカン発(CNS):キリスト者は、移住者たちを改宗させたり、単に物質的な援助を提供したりするよう求められているのではなく、隣人愛を通してイエス・キリストを証しするよう呼ばれていると教理省長官が語った。

 

ゲルハルト・ミュラー枢機卿によれば、改宗とは「事実上、良心に働きかけること(行為)」である。そして教会の使命は、人が戦争や迫害から逃れようとする人々に共感し、その人々を愛するよう手助けをすることだという。「教会の使命は、イエス・キリストを証しすることにあります。仮にわたしが、『あなたの物質的なニーズが満たされればそれでいい』と言うならば、それはあなたを蔑むことばになるでしょう。」ミュラー枢機卿は、2月25日にバチカンで開催された国際会議で語った。

 

2日間にわたったこの会議では、教皇ベネディクト16世が初めて出した、慈しみに関する回勅「デウス・カリタス・エスト(神は愛なり)」と、今日の世界における愛のキリスト教的視点の妥当性が検討された。隣人を愛せよというイエスの掟は、キリスト者が特に慈しみの業を通して神の愛を他者に明示するようにという呼びかけであると枢機卿は述べた。しかし、移住者たちのニーズへの取り組みに関しては、キリスト者は、「隠された意図を持つことなく」手助けをするよう呼ばれていると語った。

 

「わたしたちは、自分たちが行う慈善を利用して、改宗の道具に変えてはなりません。」と枢機卿は言う。「熟達したキリスト者は、神について話すべきときを知り、沈黙するのが最善であるときを知っています。沈黙による証しこそが、神の愛の最良の証しとなるときもあるのです。」

 

枢機卿は、自身の故郷ドイツが主要なイスラム国から何千人もの移住者たちを受け入れていることに言及し、そこでは、自分の信仰を移住者たちに押しつけることなく、慈善を通して真の愛を証しすることにより、移住者の方からキリスト教信仰についての問いかけが生まれるようになったと述べた。

 

「これら移住者たちの大多数はイスラム教徒ですが、その中には『イスラム教徒の仲間でもないキリスト教徒が、どうしてわたしたちを助けてくれるのか?』と尋ねる人たちが居ます。隣人愛は、神の愛に向かう出発点です。それは、神が、イエス・キリストを通して隣人へと向かうわたしたちの愛の動機であり本質だからです。」

 

枢機卿によれば、隣人に向かう慈善と愛への献身は、祈りに支えられていなければならない。さもないと「盲目的な行動主義や世界を改革したいという熱狂的な欲望」になりかねないという。

 

宗教の違いを、他者を排斥する口実として利用することは信仰に反している。何故なら「神はいかなる人も排除しないからです。」と枢機卿は付け加える。他者を排斥することは「わたしたちを神から引き離す壁を作ることです。これこそが原罪なのです。」

 

教会の使命はその反対に「このような壁に打ち勝つ手助けをすること」にあり、壁は「神と隣人の双方から」人間を排除するものに他ならない、とミュラー枢機卿は述べた。 (以上)

Cardinal Muller: Love means giving witness, not proselytizing

By Junno Arocho Esteves  Catholic News Service

2.25.2016

 

VATICAN CITY (CNS) -- Christians are called not to proselytize to migrants nor simply offer material aid, but rather give witness to Jesus Christ through love of one's neighbor, said the prefect of the Congregation for the Doctrine of the Faith.

 

Cardinal Gerhard Muller said that proselytism "is practically a manipulation of the conscience" and that the church's mission is to help mankind relate to and love those escaping war and persecution.

"The mission of the church is to give witness to Jesus Christ. It would be a way of despising someone if I said: 'You only have material needs,'" Cardinal Muller said Feb. 25 at an international conference held at the Vatican.

 

The two-day conference reflected on Pope Benedict XVI's first encyclical, "Deus Caritas Est" on charity ("God Is Love") and the relevance of the Christian perspective of love in today's world.

Jesus' commandment to love one's neighbor, he said, is a call for Christians to manifest God's love to others, particularly through works of charity. However, in addressing the needs of migrants, Christians are called to help "without hidden intentions."

 

"We must not use the charity we practice and transform it into an instrument of proselytism," he said. "An expert Christian knows when it is time to speak about God and when it is best to keep quiet. Sometimes a silent witness is the best witness of the love of God."

 

The cardinal noted that in his native Germany, where thousands of migrants from Muslim-majority countries have been received, the authentic witness of love through charity has caused migrants to inquire about the Christian faith without imposing one's beliefs on them.

 

"There are among these migrants, the majority of whom are Muslim, who ask, 'Why are Christians -- and not our fellow Muslims -- helping us?' The love of neighbor is a starting point to the love of God because God, through Jesus Christ, is the cause and essence of our love toward our neighbor," the cardinal said.

 

The commitment of charity and love toward one's neighbor, he said, must be sustained by prayer or risks becoming "blind activism and a fanatical desire to reform the world."

 

Using religious differences as a pretext to exclude others is contrary to faith because "God does not exclude anyone," he added. Excluding others "builds a wall that separates us from God; this is the original sin."

 

Cardinal Muller said that instead, the church's mission is "to help overcome these walls" that only serve to exclude humankind "from both God and neighbor."

 

http://www.catholicnews.com/services/englishnews/2016/cardinal-muller-love-means-giving-witness-not-proselytizing.cfm