「学び合いの会-海外ニュース」 335号
† 主の平和
バチカンの機密文書を盗み出しリークしたとして、先月末
内部の人物2人が逮捕されましたが、その情報を暴露した
2冊の本が相次いで出版され、話題になっています。
教皇フランシスコは日曜日の一般謁見で、この件に言及し、
改革に取り組む姿勢に変化はないと強調しました。
日曜日の教皇スピーチを扱ったAPの記事に加え、暴露本
に関するAFP日本語版(先週掲載)の記事を、参考のため
添付します。
添付記事
1. 「教皇、リークあっても改革続行を誓う」 (AP)
続けて、「参考記事」 (AFP)
「教皇、リークあっても改革続行を誓う」
AP : The Associated Press 2015/11/08
バチカン市発AP— 教皇フランシスコは、日曜日(8日)、サンピエトロ広場での信者たちへのスピーチの中で、バチカンを揺り動かす最近のスキャンダルについて、初の公式コメントを発表し、教皇庁内部の不正財務行為を記録した機密文書を盗み出したことは「犯罪行為」にあたるとした上で、引き続き行政組織の改革を続行することを誓った。
教皇は、先週発売された2冊の書籍が記録文書を公表したことは、「何の役にも立たない、嘆かわし行為」であると述べた。その2冊の本、ジャンルイージ・ヌッツィ による"Merchants in the Temple"(聖堂の中の商人たち)とエミリアーノ・フィッティパルディによる"Avarice"(貪欲)は、バチカン内部の不正な資金運用と金銭疑惑を詳述している。そして、これらの本の出版は、改革派と保守派の激しい内部抗争の一端と見られている。
「この悲しい現実によって、わたしが、協力者たちや皆さんの支援を得て達成しようとしている改革の仕事の方向転換をすること決してありません。」と教皇は語り、聴衆から大きな声援が沸き起こった。
「聖堂の中の商人たち」の暴露の中で、ヌッツイは、列聖に必要な費用が50万ドルに達している可能性があると書いている。また、自分の居室を広げるために、隣で病気療養中の司祭の部屋の壁を壊したとされるモンセニョールの話も明かしている。
一方、フィッティパルディは、ある子どものための治療基金から、当時バチカンのナンバー2であったタルチジオ・ベルトーネ枢機卿の居室の修理のために200,000ユーロ(215,000ドル)が支払われたと主張している。また貧しい人たちを助けるために世界中の教区民たちから寄付された約400,000ユーロが、バチカンの運営のために使われたとも主張している。
教皇は、リークされた文書は、自身が始めた改革路線の成果を示すものであり、そこで指摘された問題の対応策はすでに取られていて「いくつかの目に見える結果が出ている」と強調した。
Curia(教皇庁)と呼ばれるバチカンの行政官僚組織は、陰謀とゴシップの巣窟とされており、教皇フランシスコは、その改革を最優先課題にしてきた。かつて、前任者教皇ベネディクト16世を歴史的辞任に追い込んだ暴露事件の後、教皇フランシスコは2013年、情報収集と助言のために8人の専門家による委員会を設立した。以前この委員会のメンバーであった二人が、盗まれた文書の捜査の一環として逮捕されたのである。
先週バチカンは、この2冊の本が、「教皇から受けた信頼への重大な裏切りの産物であり、二人の著者がしたことは、部外秘文書の譲渡という重大な不正に乗じた計画的行為である。」と評した。さらにバチカンはこう付け加えた。これを出版することは、決して「透明性と真実性を確立する」手助けとはならず、「かえって混乱を招き、部分的で偏った結論を生み出すことになる。」
(以上)
【参考記事:AFP】
就任直後の法王、バチカン放漫財政に激怒… 暴露本で判明
2015年11月05日 15:21 AFP BB News
【11月5日 AFP】「主よ、われらに許しを…だが、金は払わない!」――この激しい言葉は、ローマ・カトリック教会のフランシスコ(Francis)法王が2013年に法王に選出されたわずか数か月後、バチカン(ローマ法王庁)に対し膨大な出費への徹底調査を要求して発したものだ。
バチカンの「手に負えない」体制を目の当たりにした法王は、教会の幹部らを前に、膨れ上がる人件費、チェックなしの支出、そして不当な代金を請求する業者との裏取引のせいで教会の財政は破たんに向かっているとして、怒りをぶちまけた。
本来、フランシスコ法王の怒りの声を耳にしたのは、一握りの枢機卿やバチカン経済部門機構改革委員会「COSEA」の委員らだけのはずだった。だがこの時、ひそかに音声を録音していた者がいた。
それから2年後、録音された音声が、イタリアの著名な調査報道ジャーナリスト、ジャンルイージ・ヌッツィ(Gianluigi Nuzzi)氏の新刊本「Merchants in the Temple(聖堂の中の商人たち)」のなかで再現された。
4日に出版記念会見を行ったヌッツィ氏によると、フランシスコ法王とバチカン内部の利権との消耗戦は現在も続いており、教会変革に向けた闘いに法王が勝利できるかどうかはまったく不透明だという。
ヌッツィ氏は、世界各地のカトリック信者が数百年の伝統を持つ「聖ペトロの献金(Peter's Pence)」という献金制度を通じてバチカンに寄せた献金のうちの6割がローマ法王庁の赤字の補てんに使われていたことが、COSEAの調査により分かったと指摘している。また、2割は既に4億ユーロ(約530億円)もの大金が預けられている準備金口座に回されており、本来の目的である慈善活動のために法王が受け取るのは残りのわずか2割だという。
今週発刊されたエミリアーノ・フィッティパルディ(Emiliano Fittipaldi)氏の著書も、「聖ペトロの献金」について同様の指摘をしている。これによれば、2013年の同制度での献金総額は3億7800万ユーロ(約500億円)にのぼる。
バチカン広報官は4日、2冊の新刊本で暴露された内容を「昔のことであり、偏ったもの」と切り捨て、提起された問題の多くが、フランシスコ法王の改革によって既に対処済みであると主張した。
バチカンは先週末、機密文書を盗んで漏えいした疑いでイタリア人の広報専門家フランチェスカ・シャウキ(Francesca Chaouqui)容疑者とスペイン人の高位聖職者ルシオ・アンヘル・バリェホ・バルダ(Lucio Angel Vallejo Balda)容疑者を逮捕していた。バチカンの当局者らは、2人がフランシスコ法王を盗聴していたと明言はしていないが、2人がヌッツィ、フィッティパルディ両氏の新刊本に関与していたことをほのめかしている。
(c)AFP/Angus MACKINNON
http://www.afpbb.com/articles/-/3065504
Pope pledges to continue reforms in face of leaks
AP | ASSOCIATED PRESS
Published November 8, 2015 09:02AM EST
VATICAN CITY (AP) — In his first public comments on the latest scandal rocking the Vatican, Pope Francis told followers in St. Peter's Square on Sunday that the theft of documents describing financial malfeasance inside the Holy See was a "crime" but pledged to continue reforms of its administration.
The pope said that publishing the documents in two books released last week "was a deplorable act that doesn't help." The books, "Merchants in the Temple" by Gianluigi Nuzzi and "Avarice" by Emiliano Fittipaldi, detail mismanagement and alleged greed in the Vatican, and are seen as part of a bitter internal struggle between reformers and the old guard.
"This sad fact will certainly not divert me from the reform work that we are pursuing with my collaborators and with the support of all of you," the pope said to cheers from the crowd.
Among the disclosures in "Merchants in the Temple," Nuzzi writes that the cost of sainthood can run up to half a million dollars and tells the tale of a monsignor who allegedly broke down the wall of his neighbor, an ailing priest, to expand his apartment.
Fittipaldi, meanwhile, claimed that a children's hospital foundation had paid 200,000 euros ($215,000) toward the renovation of the apartment of the Vatican's No. 2 at the time, Cardinal Tarcisio Bertone, and that nearly 400,000 euros donated by parishioners worldwide to help the poor was funneled to pay for Vatican administration.
The pope underlined that the leaked documents were the result of the reform course that he began and that measures had already been taken to address problems, "with some visible results."
Pope Francis has made it a top priority to reform the Vatican bureaucracy known as the Curia, a hive of intrigue and gossip. He appointed a commission of eight experts in 2013 to gather information and make recommendations after an earlier expose helped drive his predecessor, Pope Benedict XVI, to a historic resignation. Two former members of that commission have been arrested as part of an investigation into the stolen documents.
Last week the Vatican described the books as "fruit of a grave betrayal of the trust given by the pope, and, as far as the authors go, of an operation to take advantage of a gravely illicit act of handing over confidential documentation." It added that the publication did not help "in any way to establish clarity and truth, but rather generate confusion and partial and tendentious conclusions."
http://bigstory.ap.org/article/842d6a1b72cd4dabb35195736f6db1c7/pope-pledges-continue-reforms-face-leaks