「学び合いの会-海外ニュース」 328号 

 

† 主の平和

 

シノドス開催中はニュースが増えて、翻訳に当たる仲間たち

は忙しくなりました。取り上げる記事は、出来るだけ精選して

お届けするように致します。

 

3週間の会期の三分の一を終えたところで、ドイツ語グループ

の枢機卿が、今回の会議に採用された新しい討論方式を高く

評価しました。(新方式については海外ニュース325号参照)

 

一方で、主に保守的なグループの中には新しいやり方に反対

する意見もあり、残された2週間の会期中、「家庭」と言う今日

的で幅広いテーマをめぐっての激しい議論が予想されます。

 

添付記事

1. ショーンボーン枢機卿: 

     「 シノドスの新たな討議方法は〈偉大な前進〉、

                                   過去の〈失望体験〉を払拭」  (NCR Today)

 

 

ショーンボーン枢機卿: シノドスの新たな討議方法は「偉大な前進」、

過去の「失望体験」を払拭

クリスタ・ポングラッツ‐リピット 2015/10/12 NCR Today

 

開会中のシノドス(世界代表司教会議)で採用されている、討議要綱(Instrumentum Laboris)に基づいた新しい討論のやり方は「偉大な前進」であると、ドイツ語グループのモデラトール(司会者)を務めるオーストリアのクリストフ・ショーンボーン枢機卿は、バチカンラジオの担当者でイエズス会士のベルンド・ハーゲンコルド神父に語った。同神父は、シノドスにオブザーバーとして出席している。

 

「これまでの司教会議(シノドス)では、次から次へと声明が読み上げられるのを聞くだけで、3週間ものあいだ何一つ関心を集中させる機会が得られませんでした。」とショーンボーン枢機卿は言う。「今回わたしたちは、討議要綱に沿って討論を進め、テーマ毎に1週間の全てを費やしています。そして、少なくとも半分の時間を各言語グループでの話し合いに当てています。いわゆる circuli minores(小グループ作業)と言われるものです。これによってわたしたちは、より徹底した討論、各議題への集中、効率的な作業が可能となり、結果として一層大きな満足が得られるのです。これまでのシノドスで経験した欲求不満の感情は、わたしが見る限り今回は完全に払しょくされています。

 

ドイツ語グループのメンバーは、ドイツのワルター・カスパー枢機卿、現教理省長官でドイツのゲルハルト・ミュラー枢機卿、ドイツのラインハルト・マルクス枢機卿、キリスト教一致推進評議会の長官でスイスのクルト・コッホ枢機卿、そしてオーストリアのショーンボーン枢機卿がモデラトールを務めている。

 

ショーンボーン枢機卿がもっとも強い印象を受けたのは、司教たちが次から次へと自身の家族体験について語ったことで、これは初めてのことである。

 

「これは従来、あまり見られなかったことです。」と枢機卿は言う。「これまでは個人的な話はしませんでした。教会の教えや、何をなすべきか、何をしなければならないかについて客観的な話をしてきました。しかし今回、司教たちは自身の家族体験、移住体験、もめごと、離別、離婚について話し、また家族の偉大な信仰についても話しました。理屈でなく経験を語ることで、話し合いは一層生き生きと活気に溢れたものになりました。」

 

ショーンボーン枢機卿によると、ドイツ語グループの最初の週の討論は、驚くほどに冷静だったという。

 

「メディアは、わたしのグループの枢機卿5人の名前を見て、間違いなく火花が飛び交う激しい議論が交わされるものと予測していました。しかしそうはなりませんでした。」と枢機卿は言う。「その理由は、最初の週は生きている現実を検証することに取り組み、そのことでは、多くの点で確かな一致を見ることが出来たからかもしれません。」

 

第2週、第3週には意見の対立があるかも知れない。そこでは、教会の教えと、その司牧的適用について論じることになっているからだとショーンボーン枢機卿は言う。

 

ショーンボーン枢機卿によると、このシノドスには二通りの敗者がいると言う。それは、「オール・オア・ナッシング(絶対主義)」に固執する人々と、「何をやってもいい(相対主義)」を支持する人々である。

 

「イエスは自身を医者になぞらえました。医者は最初に『あなたの家庭はうまく行っていますか?』などと尋ねたりはせず、『どこが悪いのですか?』と尋ねるものです。司牧者たちもそのようにするよう呼ばれているのです。司牧者は、まず人々のニーズを注意深く見なければなりません。初めから裁く立場に立ってはいけません。勿論、司牧者は、人々が理想とするもの、すなわち成功した家庭のビジョンを忘れてはいけません。」

 

シノドス開会前の10月3日の時点では、ショーンボーン枢機卿もラインハルト・マルクス枢機卿も、会議中に深刻な不一致の危険、そして分裂の危険さえもあるという予測を重視していなかったが、6日を経た後、ショーンボーン枢機卿は、まさにその危険について警告を発することになった。

 

司教の中には、政党を真似たようなグループを作ろうとする者もあったと、枢機卿は警告した。そのようなグループの分立は「分裂の論理を助長する」だけだと、枢機卿は10月9日、イタリアの日刊紙コリエーレ・デラ・セラに語った。

 

第1週の会議では家庭の現状について討論が行われたが、この問題に関しては「意見の相違が大きすぎる」ため、間違いなく前途は「苦痛なほどに多難」であることが既に明らかになっているとショーンボーン枢機卿は言う。「すべてのメンバーが、それぞれ一つの視点に囚われたままならば、別の立場からの見方が出来なくなる危険があります。」

 

(以上) 

Schönborn: New synod procedure a 'huge step forward' compared to 

'frustrating experience' of former synods

Christa Pongratz-Lippitt  |  Oct. 12, 2015 NCR Today

 

The new discussion procedure based on the Instrumentum Laboris at the ongoing Synod of Bishops was a "huge step forward," Austrian Cardinal Christoph Schönborn, moderator of the German language group told Vatican Radio's Jesuit Fr. Bernd Hagenkord, who is attending the synod as an observer.

 

"At former Episcopal Synods, we would listen to statements read out one after the other and in no way connected for up to three weeks," Schönborn said. "Today we are proceeding according to the Instrumentum Laboris and spend a whole week discussing for each section. At least half the time is spent in the language groups, the so-called circuli minores, which means far more intensive participation, far greater concentration on each topic, a far more effective way of working and thus far greater satisfaction. The feeling of frustration that I experienced at former synods has -- as far as I could see -- completely disappeared this time."

 

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The German language group includes German Cardinal Walter Kasper; German Cardinal Gerhard Müller, prefect of the Congregation of the Doctrine of Faith; German Cardinal Reinhard Marx; Swiss Cardinal Kurt Koch; Pontifical Council of Promoting Christian Unity president; and Schönborn as moderator.

 

What impressed Schönborn most was that, for the first time, more and more bishops spoke about their own family experiences.

 

"That was not customary up to now," he said. "You didn't talk about personal matters. You spoke objectively about church teaching, what should be done and what had to be done. But this time bishops spoke of their own family experiences -- experiences of migration, of their experiences of conflict, separation and divorce but also of the great faith of some family members. Talking about experiences and not theorizing made the exchange far more alive and vibrant."

 

The discussions in the German language group have been surprisingly calm in the first week, Schönborn said.

 

"When the media saw the names of the five cardinals in my group, they fully expected that the sparks would fly and that there would be violent arguments, but that was not the case," Schönborn said. This could be because the first week was concerned "with taking a look at the reality in which we live and there is certainly a lot of agreement on that."

 

More opposition could be expected in the second and third week as the delegates would be dealing with the church's teaching and its pastoral application, Schönborn said.

 

Schönborn said the two losers at the synod would be those who insisted on "all-or-nothing" and those who were in favor of "everything goes."

 

"Jesus compared himself to a doctor and doctors don't first of all ask 'Is the situation in your family in order?' but 'What is wrong?' And that was what pastors were called to do. They must first of all look and attend to people's needs and not begin by standing in judgement -- but of course they must never lose sight of what people dream of, namely a successful family," Schönborn said.

 

While Schönborn and German Cardinal Reinhard Marx have played down speculation that there was a danger of serious discord and even schism on the first day of the synod Oct. 3, six days later Schönborn warned against that very same danger.

 

Certain bishops were trying to form groups on the model of political parties, he warned. Splitting up into such groups would only "nourish the logic of separation," he told the Italian daily Corriere della Sera on Oct. 9.

 

Already during the first week, delegates' contributions to the debate on the situation of the family had "differed to such a great extent" that it was quite clear that the way forward would prove "painstakingly arduous," he said. "If all one's attention concentrates on a single aspect, there is the danger that one will not see other aspects."

 

[Christa Pongratz-Lippitt is the Austrian correspondent for the London-based weekly Catholic magazine The Tablet.]

 

http://ncronline.org/blogs/ncr-today/sch-nborn-new-synod-procedure-huge-step-forward-compared-frustrating-experience