「学び合いの会-海外ニュース」 327号 

 

† 主の平和

 

ローマで開かれている世界代表司教会議(略称:家庭シノドス)

は第1週の討論を終え、明日から第2週に入ります。

今回は、会議が始まる直前、二人の英国司教が心境を述べた

インタビューをご紹介します。

独身の聖職者が「家庭」を本当に理解できるのか?という自省

の言葉や、教皇フランシスコが牽引するシノドスへの強い期待

を聞くことができます。

 

添付記事

1. 「司教たちは家庭の理解が不足」 

             シノドスの英司教らが懸念表明 (NCR)

 

「司教たちは家庭の理解が不足」  シノドスの英司教らが懸念表明

ジョシュア・マッケルウィー 2015/10/5 NCR

 

 

ローマ発: 開催中のカトリック司教の世界集会(シノドス)で、イングランドとウェールズを代表する二人の司教のうちの一人が(共同記者会見の席上)ある懸念を表明した。

それによれば、教会指導者たちは現在この場所で家庭生活の問題を討論しているが、彼らが独身生活者であるために、この問題への理解が限られてしまうのではないかというものだ。

ロンドンの北70マイルのノーザンプトン教区の責任者ピーター・ドイル司教は、土曜日の会見で「少々問題がある」と考えていると語った。

 

「わたしも家庭で育った訳だし、教区での司牧経験も37年になるから、家庭生活について理解しているものと思っていました。」とドイル司教は言う。「しかし、結婚や家庭生活の問題に係わるようになって、突然、わたしが全く知らなかった、別な世界があることを知らされたのです。」

「わたしたちには本当に理解できない大きな領域があることを少々懸念しています。」

 

「もちろん、わたしたちはあらゆる人の意見を携えてここにきています。」と司教は続ける。「しかし、家族の視点から物事を見るようなことはかなり難しいと思います。そこには越えがたい壁があります。しかし、だからといって、その問題を避ける必要もないと思います。」

 

ドイル司教は10月3日、ウェストミンスター大聖堂でのNCRによる共同記者会見でこのように語った。共同会見には、イングランドとウェールズの司教協議会の会長で、今回のシノドスに出席しているヴィンセント・ニコラス枢機卿も立ち会った

 

シノドスとして知られるこの集会は、約318人の人々がローマに集まり、10月4日~25日にかけて討議を行う。これは、教皇フランシスコによって招集された2014年から2015年にまたがる二つ(臨時と通常)のシノドスの2回目にあたり、世界中の家族が直面する広範囲の諸問題についての話し合いに大きな期待が寄せられている。

 

家庭に焦点を当てた集会が、ほとんど男性だけによって運営されることに疑問を抱く人々も居り、ドイル司教の発言はその疑問に応えたものだ。教皇フランシスコがシノドスの投票権のあるメンバーに指名したのは、およそ279人の司祭と司教(共に男性)であった。

 

少人数の女性のグループが、会議協力者や傍聴者として討論に参加してはいるが、彼女たちは最終文書や公表事項に投票することは許されていない。

 

「これがわたしの考えていることです。」と司教は質問に答えて言った。「わたしたちは物事を様々な観点から見なければなりません。そして、結婚や家庭生活のような身近な事柄の全体像について話し合う時には、おそらく、<男性と女性の>双方の視点が必要なのかも知れません。」

 

 

一方のニコラス枢機卿は、2009年以来、ロンドンを含むカトリック大司教区の責任者で、昨年枢機卿になった。ニコラス枢機卿は次のように語った。「シノドスに出席する司牧者たちには“ともにいる人々の希望、不安、欲求不満を携えて”ここに来る責任があります。」

 

「ここは、男性の独身者たちが意見交換をする場所ではありません。」と枢機卿は言う。「ここは、司牧者たちが祈りと熟考の時間を持つ場所です。」

 

ニコラス枢機卿は、会議の期間中、17組の夫婦がシノドスの司教たちに証言するという事実と、今年のシノドスでは、少人数のグループ討論のためにより多くの時間が組まれた事実を指摘した。

 

「すべての少グループに、既婚者と女性が入ることになっています。」と枢機卿は言う。「そして、注目すべき点は、以前のシノドスになかったほど多くの時間を、少グループの話し合いに当てる予定だということです。それは今回が(昨年に続く)第2部にあたるからで、ここが違うところです。このようなことは(シノドスの歴史で)初めてです。」

 

「少人数のグループで作業を行うのは、家族や女性の生の声を十分に引き出すためです。

なぜなら、少グループでなら、それらの人たちが継続的な役割を果たすことが出来ますが、シノドスの大会議場では不可能だからです。そこでは時間の制約が大きすぎます。」

 

ニコラス枢機卿とドイル司教のインタビューは、シノドス開会の前夜、20分間にわたって行われた。二人はまた、この会議にかける希望と期待にも触れた。すなわち、教会の教えが時代遅れのようだと言う人々にどう応えるのか。そして教会の微妙な問題に関する討論の役割をどう見るのか。

 

ニコラス枢機卿は、教皇フランシスコが初めて出した使徒的勧告「福音の喜び」に触れ、今年の家庭シノドスが終わった後、教皇が「家庭の喜び」という新しい使徒的勧告を書くことを期待すると語った。

 

枢機卿はまた、教会は「多くの家族に見られる、互いの深い関わり合いと、無条件の愛の姿から学ばなければなりません。」と言う。

 

「家族とは…そのうちの誰かが耐え難い振る舞いをしたからといって、簡単に崩壊するものではありません。」と枢機卿は言う。「どの家庭も困難を抱えています。しかし、たいていの家庭はそれで崩壊したりはしません。家族は困難と闘い、困難に耐え、一緒に踏み止まり、互いに愛によって支え合うのです。たとえ、受け入れがたい行動をとる家族がいたとしても…。」

 

「本当の愛とは、そのような堅固な愛だと思います。それは、教会が人々に浸透させ、具現化し、伝えようと努めるべき愛です。」と枢機卿は言う。「それによって人々は、自分たちが教会で愛されていること、そして教会には、自分たちが善に向うことへの期待があることをいつも心に留めるようになるでしょう。」

 

「わたしは、自分の生活が誇れるものでないことを知っています。」と枢機卿は言う。「毎日僅かずつでも向上するようにと努めるのは当然のことです。ひいては、それがわたしをよりよい人間へと変えていくのです。」

 

教会の教えが時代遅れだと考える人々に対して、ニコラス枢機卿はこう応える。「自分が今この時代に体験していることを基準に福音を読もうとする人々がいます。その一方で、福音を基準にして今の時代の体験を読み解こうとする人々もいます。」

 

枢機卿は、教会内の討論の役割について語り、教皇フランシスコの働きによってシノドスの討議は多くの実を結び、最終的には、カトリック教会の中に不一致をもたらすことはないという安心感を持ったと述べた。

 

ニコラス枢機卿は、2014年のシノドスにおける教皇の最終演説に言及した。教皇フランシスコはそこで列席の司教たちに対し、自らを「教会の一致と調和を保証する者」として信頼してよいと告げた。枢機卿は、「わたしがこれまで聞いた教皇演説の中で、もっとも注目に値するものであることは疑いありません。」と述べた。

 

「教皇は、“ここでは自由に話して良い。勇気を持って話して良い。情熱を持って話して良い。そしてそのすべてが可能なのはわたしがここにいるからだ。”と告げたのです。」と枢機卿は語った。

 

「聖霊は教会に調和をもたらします。…そして、教皇職には聖霊の働きという賜物が与えられています。」とニコラス枢機卿は言う。「ですから教皇は、自分が教会一致の保証としてここにいるのだから、自由に話しなさいと言われたのです。」

 

この教皇の働きが、教皇職に与えられる光(賜物)の反映に過ぎないと考える人は、彼を理解していないことになります。」と枢機卿は言う。「教皇フランシスコは、神が自分に与えた役割を実に明らかに、深く深く理解しています。そして、それが(わたしたちにとって)大きな保証になっていることは疑いありません。」

 

「教皇のこの言葉があるから、わたしは極めて穏やかな気持ちで今回のシノドスに参加しています。」とニコラス枢機卿は語った。「このような賜物に恵まれた会議の場は、世界中のどこにもないでしょうから。」

 

 

http://ncronline.org/news/vatican/synod-bishop-expresses-concern-prelates-lack-understanding-family

Synod bishop expresses concern that prelates lack understanding of family

Joshua J. McElwee  |  Oct. 5, 2015

 

ROME  One of the two prelates representing England and Wales at the ongoing global meeting of Catholic bishops has expressed concern that the church leaders are discussing issues of family life but may be limited in their understanding of those issues because of their celibate lifestyles.

Bishop Peter Doyle, who heads the Northampton diocese some 70 miles north of London, said in an interview Saturday he thinks "there is a bit of an issue."

 

"I thought I understood marriage and family life because I come from a family, because I've ministered for 37 years in a parish," said Doyle. "When I got involved in marriage and family life, I suddenly realized that there was a whole world there that I didn't know."

"I am a little concerned that there is a big area that we don't actually understand," said the bishop.

 

"Of course, we're bringing the views of everyone," he continued. "But I think it's quite difficult to kind of see things from a family point of view. I think there is a difficulty. I don't think there's any need to avoid that."

 

Doyle was speaking Oct. 3 in a joint NCR interview with him and Westminster Cardinal Vincent Nichols, who is head of the bishops' conference of England and Wales and is also attending the Rome meeting.

 

The meeting, known as a Synod of Bishops, has brought some 318 people to Rome for its Oct. 4-25 deliberations. It is the second of two synods called by Pope Francis for 2014 and 2015 and has been highly anticipated for its expected discussions on a wide range of issues facing families around the world.

 

Doyle was responding to a question about some who have expressed concern that a meeting focused on family is largely being conducted only by men, as some 279 male priests and prelates have been appointed by Francis as the voting members of the synod.

 

While there is a small group of women taking part in the discussions as collaborators and auditors, they are not allowed to vote on any final documents or issues.

 

"It's something I have thought about," the bishop said, responding to the question. "We do see things from a different perspective and something as intimate as marriage and family life I think probably needs both perspectives [male and female] to have a holistic conversation about it."

 

Nichols, who has led the Catholic archdiocese encompassing London since 2009 and became a cardinal last year, said that the pastors attending the Synod have an obligation to be "carrying the hopes and anxieties and the frustrations of people with us."

 

"This is not an exchange of opinion among male celibates," said the cardinal. "This is a period of prayer and reflection among the shepherds of the people."

 

Nichols also pointed to the fact that there will be 17 married couples presenting testimonies to the synod bishops during the meeting and that this year's synod has been organized with more time for small group discussions.

 

"There will be in every small group married people and women," said Nichols. "And what is to be noted is that this synod is going to spend much, much more time in small groups than any previous synod because this is part two and this is different. We've never seen this before."

 

"The substance of the work being done in small groups means that the actual voices of family and women will be much more to the fore because they will have a continual role in the small groups, which no person can have in the synod hall because there's so much demand of time," he said.

 

Nichols and Doyle were speaking in a 20-minute interview on the eve of the opening of the synod. They also touched upon their hopes and expectations for the event, how they respond to those who say church teachings seem outdated, and how they see the role of discussion on sensitive issues in the church.

 

Noting that Francis' first apostolic exhortation was called The Joy of the Gospel, Nichols said he hoped the end of the 2015 synod might see the pontiff write a new exhortation called The Joy of the Family.

 

The cardinal also said that the church "has to learn the ways in which so many families express deep commitment and unconditional love for each other."

 

"Most families ... don't break up simply over difficult behavior from the members," said Nichols. "Every family has difficulties. But most families don't break up over that. They struggle with it, they stick at it, they stay together, they sustain love for each other -- even though they might disagree about ways individual members are behaving."

 

"It think it's that kind of tough love that is really love … that the church can try and imbue and embody and express to people," he said. "So that they will always know [that] in the church they are loved and in the church expectations are there on them, to do better."

 

"I know my life is not what it should be," said the cardinal. "I don't mind being challenged every day to do a bit better. In the end, it makes me a better person."

 

To those who think some church teachings are outdated, Nichols responded: "Some people want to read the Gospel in the light of our contemporary experience. Other people want to read our contemporary experience in the light of the Gospel."

 

Speaking about the role of discussion in the church, the cardinal said he was reassured by Francis' role in the Synod that their deliberations will be fruitful and not result in disunity among Catholics.

 

Referring to the pope's address ending the 2014 synod -- in which Francis told the synod prelates that they could rely on him as the "guarantor of unity and harmony in the church" -- Nichols said that was "the most remarkable papal address that I've ever heard, without a doubt."

 

"What he said was you can speak here freely, you can speak with courage, you can speak with passion, and you can do all of that because I am here," said the cardinal.

 

"The Holy Spirit is the harmony of the church ... and the gift of the papacy is the work of the Holy Spirit," said Nichols. "So he said speak freely because the pope is here as the guarantee of the unity of the church."

 

"Anyone who thinks that this Holy Father is somehow papal-light, they don't understand him," said the cardinal. "He's got a very, very clear and strong understanding of the role that God has given him. And I've no doubt at all that that is the great security."

 

"I go into this synod quite peacefully, precisely because of those words," said Nichols. "There is no debating chamber in the world that has that gift."