「学び合いの会-海外ニュース」 324号 

 

† 主の平和

 

キューバを経てアメリカを初訪問した教皇は5日間の滞在を終え

て、27日夜、帰国の途につきました。同じころ訪米した中国の

習近平国家主席の影がかすむほど熱烈な歓迎を受けた教皇は、

ワシントン、ニューヨーク、フィラデルフィアの各地で多くの言葉

と足跡を残しました。

今回は9月25日、ニューヨークの国連本部総会での演説を伝える

英紙の記事と、教皇の5日間の行動の概要を、仲間がまとめて

くださいましたので添付します。

 

添付記事

1.「権力追求より環境権の尊重を」

    教皇フランシスコ、国連に要求(英ガーディアン紙)

2. 教皇フランシスコ、アメリカ訪問の概要

 

教皇フランシスコ、アメリカ訪問の概要(9月22日~27日)

 

☆9月22日(火) 午後、キューバよりアメリカ・ワシントンDCのアンドリューズ空軍基地に到着。

☆9月23日(水) ワシントンDC

ホワイトハウスの歓迎式典で教皇は「私も移民一家の子であり、そうした家族が作った米国で歓迎されることがうれしい」と述べ、不法移民問題が争点になっている米国で移民に対する柔軟な対応への期待を述べた。

〇次いでオバマ米大統領と大統領執務室で約40分、気候変動対策や難民保護などについて話した。この場でオバマ大統領は54年ぶりの「米国とキューバの国交回復」に対する教皇とバチカンの尽力に感謝を表明したという。

〇ワシントン市内をモーターケード(自動車パレード)し、柵を越えて近づいたメキシコ系の5歳の少女を護衛を制して手で招きTシャツと手紙を受け取られた。

〇聖マタイ教会で米国司教たちと祈りを共にささげ、講話を行った。

〇さらに「無原罪の宿り大聖堂」で福者ジュニペロ・セラ神父(1713-1784)の列聖式を司式。

〇夜、聖ヨハネ・パウロ2世神学院を訪問。 

☆9月24日(木) ワシントンDC

〇史上初めて米国連邦議会上下両院合同会議で演説。

「世界は第2次大戦後、前例がない難民危機に直面している」と述べ、難民や移民に対する寛容な姿

勢をとるよう訴えた。教皇はゆっくりとした英語で約50分にわたり、より良い生活を目指して先進国

へやって来る移民らへの「敵意を持った考え方」を戒めた。また「人間の活動が環境にダメージを与

えている」と語り、地球温暖化に対する早急な取り組みが必要だと強調した。

〇演説後、教皇は政治家らとの昼食会を断り、聖パトリック教会でカトリック系慈善団体が提供する

ホームレスのための昼食を人々と共に食べた。

☆9月25日(金)ニューヨーク市

〇午前8:30、国連サミット総会に先立ち教皇は、今年で創設70年を迎えた国連は「時の流れに応じた改革と適応が必要」と述べ、安全保障理事会など国連機関の改革を訴えた。また、国連の新しい開発目標の「持続可能な開発のための2030アジェンダ」は貧者の救済に向け「重要な希望の兆候」だと歓迎する一方、戦後一貫して、拒否権を持つ5常任理事国が牛耳ってきた構図を暗に批判し、さらに国際機関の融資制度が途上国の貧困を拡大させないよう訴えた。

〇午前11:30 、マンハッタン南端の「グラウンドゼロ」にある「911メモリアルサイト」での多宗教の祈りの集いに参加し、諸宗教代表とともに犠牲者とその家族のために祈りを捧げられた。

〇午後4:00~5:30、北のハーレム地区のカトリックの小学校からセントラル・パーク南端までモーターケード。

〇午後6:00、マジソンスクエアガーデンでミサ。

☆9月26日(土)フィラデルフィア

〇午前中に教皇はアメリカ訪問三番目の地フィラデルフィアに向かう。

* フィラデルフィアでは、ペンシルバニア・コンベンション センターで、9月21~25日、バチカン主宰の第8回世界家庭大会(World Meeting of Families<WMOF>in Philadelphia 2015)が行われた。

この大会は、1992年、教皇ヨハネ・パウロ2世が家庭の価値を守り育てることを目的に始めたもので、3年毎に場所を変えて開催している。この大会への出席が教皇訪米の大きな目的であった。

移動のためにヘリコプターでニューヨーク空港に向かう途中、教皇は、自由の女神像の傍の元移民税関のあったエリス島(Ellis Island)の上を旋回するようよう望み、アメリカ大陸が移民の土地であることを想起させた。教皇は、気候変動、経済の平等や宗教の自由と共に、移民問題を今回訪問の重要テーマの一つに掲げている。

〇フィラデルフィア到着後、評判の小さなフィアット車で、宿舎の聖カルロ・ボッローメオ神学校に向う。沿道に車椅子の乗った身体障碍者の子供を見て、車を止め、近寄って接吻。

〇市内の司教座聖堂でペンシルバニア州の教会関係者と共にミサ。説教で、宣教における信徒の責任感を高めるよう呼びかけると共に、女性が教会に与える大きな貢献をより価値付けていくことを願われた。

〇午後4:30、独立宣言と憲法が採択された自由の鐘のある「独立記念館」に到着。アメリカ国民に「信教の自由」(freedom of religion)宣言の更新を呼びかけた。

〇午後7:30、フランクリン広場での「家族の祝い」(the Festival of Families:家庭大会中心行事の前夜祭)に参加。ミサ後、改めて「信教の自由」について講話。

☆9月27日(日)フィラデルフィア

〇午前中、ペンシルバニア・コンベンション センターでの世界家庭大会に出席。フィラデルフィアの神学院で家庭大会に出席した司教らと会見。

〇同市最大の刑務所を訪問。受刑者が作った木の椅子に座り慰めの言葉を述べた。この中で教皇は、イエスが最後の晩餐で弟子たちの足を洗ったエピソードを示し、「イエスは昨日も今日も、弟子たちの足、わたしたちの足を洗ってくださいます」「生きるとは、いろいろな道を歩むこと。イエスはわたしたちの足のほこりを洗い、孤独な歩みの傷を癒し、再び歩むための、希望や、信仰、信頼を取り戻してくれるのです」と説かれた。そして受刑者一人ひとりと握手を交わした。

〇午後、フランクリン広場でアメリカ訪問の最後のミサ(世界大会閉会、100万人の野外ミサ)を祝い説教を行った。

〇夜、フィラデルフィア空港からローマへの帰国の途についた。