「学び合いの会-海外ニュース」 321号 

 

† 主の平和

 

利益至上主義によって家庭のあり方を歪めているグロー

バル経済(市場)を、教皇は厳しく批判しています。

その問題に触れた一般謁見でのスピーチを仲間が翻訳

しました。

 

添付記事

1. 教皇フランシスコ、市場システムを批判:

        「市場は家庭を人質に取っている。」(NCR)

 

教皇フランシスコ、市場システムを批判:「市場は家族を人質に取っている。」

ジョシュア. J. マッケルウィー 2015/8/19 NCR

 

教皇フランシスコは、再度、グローバルな市場システムのあり方を厳しく批判し、利潤の追求は、しばしば家庭生活を「人質に取る」こと、さらには労働者の生産性向上のために、家庭それ自体を障害物と見なすことさえあると警告した。

 

水曜日の一般謁見で教皇は、利潤をすべての労働人生の中心に置くことは、人生に付随するそれ以外の要素を蔑むように仕向けることであり、「魂の喪失」をもたらすとも警告している。

 

「新しい仕事の仕組みは、家庭が、生産性にとっての障害物・重荷・負担であると見なす危険な傾向をもたらすことがあります。しかし、わたしたちは、生産性とは何か? 誰のための生産性なのか? と問いかけます。」教皇フランシスコは、謁見のためにパウロ6世ホールに集まった何千人もの人々にこう語った。

 

このところの水曜日の教皇一般謁見では、一連の黙想のテーマとして、家庭生活の様々な側面を取り上げてきたが、今週もそのテーマについての話であった。今回、教皇は家庭と仕事の関係に焦点を当て、それを「神聖な」関係と呼んだ。

 

創世記の創造の物語と、自身の新しい回勅「ラウダート・シ」の双方を引用し、教皇は、地球の美しさへの配慮と労働の尊厳とは「互いに結び付けられている」と述べた。「この二つは手を取りあって歩むものです。地球は、人間が手を貸すといっそう美しくなるのです。」

 

教皇は続けて警告した。「仕事が神と人との契約から離れ、霊的な深みを失い、利潤追求の論理だけに捉われて、人生に付随する事柄を軽視するとき、「魂の喪失」がすべてを汚すのです。空気、水、草花、食物までも…。」「市民生活は損なわれ、居住環境は荒廃します。」「それによって一番苦しむのは、最も貧しい人々、最も貧しい家族です。」

 

またこの日、教皇フランシスコは、雇用労働者を「経済的な都合で」勝手に解雇する人々に強く釘を刺した。「家庭は(社会にとって)大切な試みの場所です。」教皇は言う。「会社が家庭を人質に取ったり、その進む道を妨げたりしたら、それは人間社会が自身の目的に背き始めたしるしと考えなければなりません。」

 

「わたしは様々な表現で何度も繰り返してきましたが、働くことは真に人間の本性に適うものです。」「それは、神の似姿として創られた人間の尊厳を表わします。それ故に仕事は神聖であると言われるのです。」「従って、仕事を管理(経営)する者は社会と人間に対する大きな責任を負っています。それは少数の人々の手に委ねることも、神格化された市場に丸投げすることも許されません。」と教皇は続けた。「仕事の場を失わせることは、重大な社会的損害を引き起こすことを意味します。」

 

スピーチの最後に教皇は、キリスト者の家庭に呼び掛けて、教皇が「創造への思いと、仕事の尊厳との基本的な繋がり」と呼んでいるものを実現するための「偉大な挑戦」に着手するよう促した。

 

「これらの基本を喪失することはとても深刻な問題です。そして、一般家庭では既に多すぎるほどの亀裂が生じています。この仕事は決して楽なものではありません。時にはゴリアテに立ち向かうダビデのように見えるかもしれません。しかし、わたしたちはその挑戦の結果がどうなるかを知っています。そのためには、信仰と術策とが必要なのです。」

 

(以上)

 

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Francis criticizes market system, saying it takes family 'hostage'

Joshua J. McElwee  |  Aug. 19, 2015 NCR Today

 

Pope Francis has again strongly criticized an aspect of the global market system, warning that the search for profit margins often "takes hostage" family life and even considers families themselves obstacles to better worker productivity.

In his weekly general audience Wednesday, the pontiff also warned that placing profit at the center of all work life causes a "discouragement of the soul" by forcing laborers to scorn all life attachments.

 

"The modern organization of work sometimes shows a dangerous tendency to consider the family an obstacle, a weight, a liability, for the productivity of work," Francis told thousands gathered in Paul VI Hall for the audience.

 

"But we ask: Which productivity?" he continued. "And for whom?"

 

Francis was speaking Wednesday as part of a series of reflections he has been giving in his general audiences on different aspects of family life. He focused this week's reflection on the relation between the family and work, which he called "sacred."

 

In reference to both the Genesis story of creation and to his new encyclical Laudato Si', the pontiff said care for the earth's beauty and the dignity of work "were made to be joined together."

 

"The two go together," said Francis. "The earth becomes more beautiful when it is worked by man."

 

He continued with a warning: "When work separates itself from the covenant of God with man and woman, when it separates itself from their spiritual qualities, when it is hostage to the logic of only profit and scorns the attachments of life, the discouragement of the soul contaminates all: even the air, the water, the herbs, food."

 

"The civil life spoils and the habitat goes to ruin," the pope said. "And the consequences damage most of all the poorest and the poorest families."

 

Francis also warned Wednesday against those who hire workers but then feel free to discard them "according to economic convenience."

 

"The family is a great testing ground," said the pope. "When the organization of work takes it hostage, or even blocks the path, we can then be sure that the human society has started to work against itself."

 

"To work -- I repeat, in a thousand ways -- is truly of the human person," said Francis. "It expresses his or her dignity of being created in the image of God. For this we say that work is sacred."

 

"And for this the management of work is a great social and human responsibility that cannot be left in the hands of a few or dumped on a deified market," he continued. "To cause a loss of places of work means to cause a grave social damage."

 

Francis closed his remarks by calling on Christian families to take up the "great challenge" to show what he called a fundamental bond between care for creation and the dignity of work.

 

"The lost of these fundamentals is a very serious matter, and in the common home there are already too many fissures," said the pope.

 

"The work is not easy," he said. "Sometimes it can look ... like David in front of Goliath; but we know how it goes at the end of that challenge! It takes faith and craftiness."

 

[Joshua J. McElwee is NCR Vatican correspondent. His email address is jmcelwee@ncronline.org. Follow him on Twitter: @joshjmac.]

 

http://ncronline.org/blogs/ncr-today/francis-again-criticizes-market-system-saying-it-keeps-family-hostage