「学び合いの会-海外ニュース」 320号 

 

† 主の平和

 

教皇フランシスコは6月18日、環境に関する回勅「ラウダート・シ」

(主を賛美せよ=仮題)を発表しました。

学び合いの会のメンバー(同伴者)のマシア神父は、発表の翌日

から、ご自分のブログに日本語訳の連載を開始し、先月末には

ほぼ完了しました。マシア師のブログは下記の通りです。

ブログのカレンダーをクリックしながら全文を読むことができます。

http://d.hatena.ne.jp/jmasia/201506

 

ところで、別の仲間が、イギリスの主要紙ガーディアンのネット版

に掲載された「回勅についてのQ & A」 を紹介してくれました。

面白い内容なのでご参考までに添付します。

 

添付記事

1. 「回勅」に関する Q & A (英ガーディアン紙)

 

 

教皇の環境回勅:「回勅」に関する Q & A

 

間もなく公布される回勅は、気候変動に関する議論に本格的に介入するものとして期待されている。    (訳注:この記事は環境回勅「主を賛美せよ Laudato Si’」が出される以前に発表された。)

しかし、そもそも回勅とはなにか? なぜこれが多くの論議を呼ぶのか?

長年、ガーディアン紙のバチカン担当記者をしているジョン・フーパーが全ての疑問に答える。

 

 

Q. 回勅は、教皇の布告として最高レベルの文書ですか?

A.    2番目です。使徒憲章が最高レベルの教皇布告文書です。今世紀に入ってから使徒憲章はまだ1回しか出されていません。それは教皇ベネディクト16世が出した、聖公会からカトリック教会に入ることに道を開く布告で、(カトリック教会が認める)聖公会の典礼などを継続することも認めています。                                                  訳注:使徒憲章「アングリカノールム・チェテイブス」2009/11/9 公布

Q. では、回勅とは一体何ですか?

A.    元々は回覧文書の意味でした。語源はギリシャ語の「回る」という言葉から来ています。初期の時代の教皇回勅は、当時の教皇から位階組織のメンバーに宛てたものですが、時には特定の国のメンバー宛に限ったものもありました。つまり、宗教組織としてはかなり世俗的な問題に関する回勅も含まれていました。

Q. 回勅が現在の形に定着したのはいつごろからですか?

A.    回勅に関して最初に注目すべき人物は、18世紀半ばの、温和で控えめな教皇ベネディクト14世です。彼が記した最初の回勅「ウビ・プリムム(Ubi Primum)」は司教の義務に関する内容で、教皇就任後4カ月目に出され、1758年に亡くなる前の年には44番目の回勅が出されています。しかし、歴史上、回勅の数のチャンピオンは、1878年から1903年まで教皇の座にいたレオ13世でしょう。彼の出した回勅は、最も大きな影響を及ぼした回勅のひとつ、1891年の「レールム・ノヴァールム(Rerum Novarum )」を含め、80に上ります。

Q. その回勅はなぜ大きな影響を与えたのですか?

A.    それは社会の変化―労働問題や階級闘争に対する教皇座からの回答として、長く待たれていたものでした。回勅「レールム・ノヴァールム」は、マルキシズムと、節度を欠く資本主義と共に批判し、カトリックの社会教説の基礎を築きました。

Q. 他に注目すべき回勅は?

 

A. 人間(の生き方)に関して最大のインパクトを与えた回勅といえば、恐らくは1968年に出された「フマネ・ヴィテ(Humanae Vitae)」が挙げられるでしょう。それは産児制限を禁じるカトリック教会の教えを再確認したものです。しかしフマネ・ヴィテは、これも恐らくは、カトリック自体の中で最も広く無視されている教皇至上命令と言えるでしょう。特にイタリアは、世界一出生率の低い国として注目されています。

 

Q. 回勅のタイトルはラテン語と決まっているのですか?

 

A. 決まってはいませんが多くの場合、ラテン語のタイトルがついています。以前にはフランス語やイタリア語のタイトルもありました。最も有名な回勅で、全てドイツ語で書かれたものもあります。

 

Q. それはなぜ?

A.    回勅「Mit brennender Sorge-燃えさかる危惧」は、ピオ11世がナチスの第三帝国思想を弾劾したものです。この回勅は、密かにドイツ国内に持ち込まれ、1937年の枝の主日にカトリック教会の説教壇から人々に伝えられました。

Q. しかし、教皇のナチスへの対応は生ぬるかったのではありませんか?

A.    その非難は、ピオ11世の後任者のピオ12世に向けられたものです。

Q. 回勅は本当に教皇が書いているのですか?

A.    最近は違うようです。レオ13世は自分が書いたと言っています。しかし最近はチーム作業になっています。教皇フランシスコの環境に関する回勅「主を賛美せよ(Laudato Si’)」の場合は、多くの作業が、バチカンの正義と平和評議会に委託されました。それは、この部門の役割が、他の国の政府における海外援助・開発の部門と一番よく似ているからです。そうはいっても最終的な内容に責任を持つのは教皇です。

Q. その後は、翻訳作業ですね?

A.    その通りです。でもその段階にも問題があります。教皇が発する言葉の重要性を考えれば、各国語に翻訳された言葉が、どこの国でも同じように理解されることが大切です。教皇ベネディクト16世の三番目の回勅「真理に根ざした愛(Caritas in Veritate)」は、数個所の調整に1週間も手間取りました。

Q. 教皇の言葉が不謬とされるのならそれも理解できますね?

 

A. いいえ。教皇の声明が不謬とされるのはごく稀なケースで、信仰と教義に関する事柄に限られます。一番最近の例で、明らかにこのカテゴリーに当てはまる教皇声明は、1950年に行われました。(訳注: ピオ12世による「聖母被昇天」の教義布告。)  教皇フランシスコが気候変動や化石燃料について語る言葉は、何であれ、倫理的な重みを伴います。しかしながら、教皇もバチカン当局も、環境問題についての自分の意見が不謬のものであるとは主張しないでしょう。

 

(以上) 

Pope's encyclical on the environment: key questions answered

John Hooper Thursday 18 June 2015

 

The pontiff’s upcoming document is being hailed as a major intervention in the climate change debate. But what exactly is an encyclical? And why is this one causing such a fuss? John Hooper, long-term Vatican observer for the Guardian, has all the answers

 

Q. Encyclicals. Are they the top level of papal declarations?

 

A. Second from top. An apostolic constitution is the highest form of papal decree. Only one has been issued so far this century – by Pope Benedict to give Anglicans a way of joining the Catholic church without having to forgo their liturgy and so on.

 

Q. So what is an encyclical?

 

A. Originally, it was a circular letter; the term comes from the Greek word for a circle. The earliest papal encyclicals were sent by the pope of the day to members of the Catholic hierarchy, and sometimes only to those in a particular country. So they could be about quite mundane issues of ecclesiastical organisation.

 

Q. When did encyclicals come into fashion?

 

A. The man who first seems to have gone big on them was the genial and unpretentious Benedict XIV, who was pope in the mid-18th century. He wrote his first encyclical – Ubi Primum, which was about the duties of bishops – four months after being elected and issued the last of 44 in the year before he died in 1758. The all-time encyclical writing champion, though, was Leo XIII who sat on the throne of St Peter from 1878 to 1903. He penned more than 80, including one of the most influential, Rerum Novarum, published in 1891.

 

Q. Why was it considered so important?

 

A. It was the papacy’s – long overdue – response to a changed world of industrial conflict and class warfare. Rerum Novarum laid the foundations of Catholic social teaching, condemning both Marxism and unfettered capitalism.

 

Q. Other landmark encyclicals?

 

A. Probably the one that has had the greatest impact on humanity is Humanae Vitae, the encyclical that reaffirmed the Catholic church’s ban on artificial birth control back in 1968. But Humanae Vitae is also probably the papal diktat that has been most widely ignored by Catholics themselves, notably in Italy, which nowadays has one of the world’s lowest birth rates.

 

Q. Do encyclicals have to have Latin titles?

 

A. No, though most do. There have been French and Italian titles. And one of the most famous encyclicals was written entirely in German.

 

Q. Why?

 

A. Mit brennender Sorge – With Burning Anxiety – was Pope Pius XI’s denunciation of the ideas of the Third Reich. It was smuggled into Germany and read out from the pulpits of Catholic churches on Palm Sunday 1937.

 

Q. But wasn’t the pope a bit soft on the Nazis?

 

A. That’s the accusation levelled against Pius XI’s successor, Pius XII.

 

Q. Are encyclicals really written by popes?

 

A. Not these days. Leo XIII was said to have written his. But nowadays they are a team effort. In the case of Francis’s encyclical on the environment, much of the work was delegated to the Pontifical Council for Justice and Peace, the Vatican department that most closely resembles an overseas aid and development ministry in a secular government. Nevertheless, it is the pope who does the final editing.

 

Q. After which the encyclical goes to be translated …

 

A. Yes, and that can be a story in itself. Because of the importance attached to the words used by a pope, it is crucial that what he says in each language should be understood in the same way. Publication of Pope Benedict’s third encyclical, Caritas in Veritate, was held up for a week because of the difficulties of reconciling certain passages.

 

Q. Understandable if what the pope says is held to be infallible. No?

 

A. No. Pronouncements held to be infallible are very rare and limited to matters of faith and doctrine. The last papal declaration indisputably regarded as falling into this category was in 1950. Whatever Pope Francis has to say about climate change or fossil fuels will carry great moral weight. But neither he nor the Vatican would claim his views on the environment are infallible.

 

 

http://www.theguardian.com/world/2015/jun/18/popes-encyclical-on-the-environment-key-questions-answered