「学び合いの会-海外ニュース」 312号 

† 主の平和

 

およそ4ヶ月後に迫った「家庭シノドス」(世界代表司教

会議)を前に、世界各国の司教会議は、バチカンの準備

文書に添えられた「質問状」に関して国毎に様々な対応

を見せています。

これまでにどのような回答が寄せられているのか?

記事からは、お国ぶりの違いが感じられます。

 

添付記事

1. ヨーロッパのカトリックから異論・反論、

          家庭シノドス質問状への応答 (NCR)

 

 

 

ヨーロッパの反権威主義的カトリック、シノドス質問状への応答

ジョナサン・ラックスムア 2015/6/2 NCR(ナショナル・カトリック・リポーター誌)

 

 

ポーランド・ワルシャワ発:ヨーロッパ各国の司教会議は、世界の国々の司教会議と同様、10月に開かれる家庭に関するシノドスの準備のために、聞き取りの作業を進めているものと思われる。

これまでのところ、カトリック信者の回答に示された意見に関して、公式に発表されたものはごく僅かだが、かなり強い反応があることをうかがい知ることができる。

 

バチカンは、2014年の10月の臨時シノドスの最終報告を発送し、司教たちに対して、「徹底した調査」を行って、シノドスの会期中に確認された「数え切れないほどの課題」に対する「実際に役立つ解決」を模索するよう求めている。

 

そこには、家庭の役割について、また、教会は同性愛、離婚と再婚、避妊、同棲といった問題にどのように対応したら良いかについて、46の質問が掲げられている。この質問状は、リネアメンタ(シノドス準備文書)の一部でもある。

 

スペインの司教団はこの質問状を厳密に教会内にとどめているが、イギリスとウェールズの司教団は質問状をインターネット上に公開し、全ての人に答えを求めた。その他の教会指導者たちは、ローマの求めた4月15日の締め切りに合わせてこの文書に様々な対応をした。

 

スイスの司教協議会は、6000人のカトリック信者からすべての質問項目に答えた回答書を受け取り、5月初旬にそのダイジェストを発表した。

 

多くのスイス人が不満を漏らしているのは、神学と自然法に関する説明が「複雑で、理解し難く、観念的」である点であり、その一方で、教会は、結婚を神聖視する説教で人間の尊厳を損ない、ゲイとレスビアンに貞潔の生活を説いて苦しみを与えると訴えている。

 

ダイジェストを発表したスイス司教団のスポークスマン、ウォルター・ミューラーは、「ゲイやレスビアンの人たちは、教会とシノドスが現実を受け入れ、その現実が不適切で、規範から外れ、欠陥であり、病んでいると決めつけないで欲しいと望んでいるのだ。」と記者たちに語った。「厳しい規律に従って、いまの教会の教えを厳密に守ることを望むと表明した人はごく少数に過ぎなかった。」

 

司教団によれば、スイスのカトリック信者たちは、小教区で行われたディベート(討論会)に参加したという。その結果、離婚して再婚した人々を共同体から排斥しないこと、教会内に同性愛者にふさわしい場所を見いだすことなどをローマに要請することになり、それを570に分けられた報告書に盛り込んでいる。

 

お隣のフランスでは、司教たちが、どうすれば自分の教区でディベートを促進できるかを判断し、10,000通の回答を受け取った。

 

フランス司教協議会の副議長であるモンペリエのピエール・マリー・カレ大司教によると、フランスのカトリック信者たちは、自分たちの意見を聴かれたことを喜び、このやり方が今後も「決まり事になる」よう望んでいるという。

 

フランスの回答結果がローマに送られる以前、司教団の5月の総会の間に、家庭の司牧問題に関する特別なディベートが聖地リジュー、またルルドのマリアン・センターで開催された。

 

教皇フランシスコとシノドス事務総局は、5月25日~26日に世界の司教からの情報を検討した。

 

ベルギーでは、この2月、カトリックの週刊誌 Journal Dimanche(日曜ジャーナル)に質問状が公開されたが、最初の結果(声明)では、性と結婚に関する教会の教えは…声明の言葉通りに記すと…「教会に通うカトリック信者でさえもほとんど理解しがたく、また守られてもいない。」との意見が示された。

 

これに対してベルギーの司教団は、「各司教協議会に質問状を送るというこの方法は、形式的でないだけではなく『現実的』な協議を行いたいという教皇フランシスコの熱意を反映している。」とウェブサイトの声明の中で説明している。

 

バチカンは、各司教協議会に対して、「徹底した討論を促進するために、学術機関、信徒の組織や集会、その他の教会の機構を使うように」との助言を与えている。

 

予想されたように、これまでのところ、ドイツから送られてきた資料がもっとも包括的である。ドイツの司教団は、従来から率先して進歩的な教会改革を強く求めてきた。

 

ドイツ司教団は、17 ページにわたる3月の月例レポートの中で、これまでに、国内の27の教区、様々なカトリック団体、そして修道会から受け取った答えは、わずか1000通であったと述べている。

 

しかし、質問状への回答は、結果として、ほとんどのドイツのカトリック信者が、同性婚と同棲、そして離婚者と再婚者を、もっと積極的に受け容れるよう希望していることを示していた。

 

ほとんどの人は、結婚における誠実さと中絶の害悪についての教会の教えに賛同している。

しかし多くの人々は、「家庭での現実と、教会の教えの間」にある隔たりを克服したいと望んでおり、「教会の模範に適合しない関係性の状態を表現する好意的な言葉」を求めている。

 

レポートでは、司牧ケアに際して教会は、「自身をキリスト者、カトリック者と考えているが、教会の教えに完全に一致して生活していない、あるいは生活できない人々」との間に、「オープンで、偏見や説教臭のないコミュニケーション」を確保すべきであると指摘している。

 

同性愛といった問題に関しては、性倫理を巡る教会の教えを「さらに発展させる」必要があると述べている。

 

「秘跡からの排除は(離婚して再婚した場合のように)それがとりわけ永久の排除となった場合、大多数のカトリック信者が抱いている“神は全てを赦し、回心の機会を与え、新たな生活へのスタートを可能にして下さる。”という信仰の確信とは相反することになる。」とドイツ司教団の報告書は結論づけている。

「これが、教会の信頼性にとって極めて重要な問題のまま残る可能性がある。」

 

ドイツの国境を越えてポーランドに入ると、このような考え方は激しい反撃を受けることになる。ポーランドの教会の「カトリック情報局」KAI は、ドイツ司教団の結論の出し方と、内容の正当性に疑問を投げかけ、ポーランドにおける質問状に関する情報が仮にあったとしても、ごくわずかしか公表しなかった。

 

ワルシャワの世論調査センター(Public Opinion Research Center)の3月の調査によれば、ポーランドのカトリック信者の 3/4 もの人々が、同性愛、避妊、正規婚外の関係に関する教会のスタンスに不賛成であり、離婚から司祭の独身制に至るまでの問題に関する教会の教えの変更を支持すると表明している。

 

この調査によって、2005年4月のポーランド人の教皇の死以来、ポーランドのカトリックの姿勢は著しく変わったことが示された。今や信者の80%が、離婚して再婚した人々の聖体拝領を支持しており、また、ほぼ同数の信者が、教会は体外受精のような慣例を受け容れるべきだと信じていると言うのだ。

 

「世論調査の対象の大半は、教皇フランシスコを倫理(道徳)の権威者だと考えているが、一方で、より多くの人々が、今や教会の教えに相反する振る舞いを悪いことだと思わなくなっている。」と世論調査センターは解説している。

 

「信者のスタンスと、教会の教えの間の食い違いが広がりつつある。」

 

(ところが)ポーランドの教会指導者たちは、世論調査センターが、教会の大切な教えを「人気コンテスト」にまで貶めたと非難し、調査結果を受け容れなかった。

 

バチカンが公布したシノドスの質問状は、それとは全く反対の意向を示していると、ポーランド司教協議会議長のスタニスラフ・ガデッキー(Stanislaw Gadecki )大司教は主張する。

世論調査の結果が示しているのは、教会の秘跡に預かり、いつも祈り、教会の運動に参加している家族は、いつも(そうでない家族より)幸せであるということなのだ、と大司教は言う。

 

いずれにしても、バチカンの質問状への回答結果は未だ公表されていない。そして、司教協議会のスポークスマンJozef Kloch 師は、質問状が実際にどれほどの範囲にまで配布されたのかについても知らされていないと言う。

 

「この質問状に関する調査は、結局のところ重大な結論には至らず、また、いずれかのグループの立場を代弁したり、一連の結論を示したりして、見解を表明するにも至っていない。」とKoch 師は NCR に語った。

 

「この結果を否定的に受け取るのではなく、むしろ肯定的に取り扱うべきである。これは、誰かに反対するために、または、ある特定の教えや行いに反対するために意図されたものではないからだ。」

 

質問状から得られた成果は、どんなに論争を呼ぼうともシノドス事務局に提出され、来るべき通常シノドスのための討議要項、すなわち作業計画に盛り込まれることになっている。

 

それと同時に、教皇はシノドスの顧問団のメンバーとして、ベルギー、フランス、イタリア、スペイン、その他ヨーロッパの国々の専門家を指名している。そしてローマでは、もっとも微妙な家庭問題を検討する研究グループに、ヨーロッパ人の存在(の多さ)が目立っている。

 

10月のシノドス開催時には、権威を認めず分裂状態のヨーロッパの教会が、重要な役割を演じることになっているように思われる。

 

 

Europe's fractious Catholics set out their views in synod questionnaire

Jonathan Luxmoore  |  Jun. 2, 2015 NCR

 

WARSAW, POLAND  Like their counterparts around the world, Europe's bishops' conferences are supposed to have been engaged in a listening process for next October's Synod of Bishops on the family.

And while little has been divulged officially so far about the views collected from Catholic respondents, it's been possible to glean some measure of the strong feelings being expressed.

 

When the Vatican sent out the final report of the synod's October 2014 Extraordinary Assembly, it asked bishops to conduct an "in-depth examination" and seek out "practical solutions" to the "innumerable challenges" identified at the synod sessions.

 

It circulated 46 questions, as part of the lineamenta, or preparatory documents, about family ministry and how the church could best tackle issues such as homosexuality, divorce and remarriage, contraception, and cohabitation.

 

While Spain's bishops kept the questionnaire strictly within the church, those of England and Wales released it on the Internet and invited everyone to respond. Other church leaders handled the document variously in time for Rome's April 15 deadline.

 

The bishops' conference of Switzerland received completed questionnaires from 6,000 Catholics and published a digest in early May.

 

Arguments from theology and natural law, many Swiss complained, were "complicated, incomprehensible and idealistic," while the church offended human dignity by preaching the inviolability of marriage and caused hurt by calling gays and lesbians to a life of chastity.

 

"They wish the church and synod to take reality into account, and to stop defining it as inadequate, irregular, defective and wounded," the Swiss bishops' spokesman, Walter Müller, told journalists when the results were published. "Only a small minority of answers expressed the wish for a narrow observance of the church's current doctrine with its strict discipline."

 

Swiss Catholics had taken part in parish debates, the bishops disclosed. The results, urging Rome to stop excluding the divorced and remarried from Communion and to find a better place for homosexuals in the church, were compiled into 570 separate reports.

 

In neighboring France, where each bishop decided how best to promote debate in his diocese, the church received 10,000 questionnaire responses.

 

French Catholics were pleased to be asked their opinion and hoped it would "become a regular practice," according to Archbishop Pierre-Marie Carré of Montpellier, vice president of the bishops' conference.

 

Special debates on family pastoral issues were staged at the shrine of Lisieux, as well as at the Marian center of Lourdes during the bishops' March plenary, before the questionnaire results were forwarded to Rome.

 

Pope Francis and the Council of the Synod of Bishops reviewed input from the world's bishops May 25-26.

 

In Belgium, where the questionnaire was published last February in the Catholic weekly Journal Dimanche, initial results suggested church teachings on sexuality and marriage were, in the words of a statement, "hardly understood, even among churchgoing Catholics, and also not practiced."

 

"This method of questioning bishops' conferences reflects the ambition of Pope Francis to run consultations that aren't just formal but also 'real,' " the Belgian bishops explained in a website statement.

 

The Vatican has advised bishops' conferences "to involve academic institutions, lay organizations and gatherings, and other ecclesial bodies with the aim of promoting a thorough discussion."

 

Predictably, the most comprehensive material has come so far from Germany, whose bishops have taken the lead in pressing for liberal church reforms.

 

In a 17-page March report, the German bishops' conference said it had received only 1,000 responses from the country's 27 dioceses and assorted Catholic associations and religious orders.

 

However, the questionnaire suggested that most German Catholics hoped for a greater openness to same-sex unions and cohabitation, as well as to the divorced and remarried.

 

Most agreed with the church's teachings on faithfulness in marriage and the evils of abortion. But many also wanted to overcome the divide "between the reality practiced in families and church teachings," and an "appreciative language for forms of relationship which do not conform to the church's ideal."

 

In its pastoral care, the report noted, the church should ensure "open, unprejudiced and nonmoralizing communication" with "those who regard themselves as Christians and Catholics, but do not or cannot live in full congruency with church teachings."

 

On issues such as homosexuality, there was a need for "further development" in the church's teaching on sexual morality.

 

"Exclusion from the sacraments, above all when it is permanent," as with those who have been divorced and remarried, "contradicts the conviction of faith held by the vast majority of Catholics that God forgives all sin, opens up the chance for conversion and makes it possible to have a new beginning in life," the German bishops' report concluded.

"There can be no doubt this remains a pivotal issue for the credibility of the Church."

 

Such notions are being fiercely resisted across the border in Poland, where the church's Catholic Information Agency, KAI, has questioned the method and validity of the German bishops' findings, and has provided little if any information about the questionnaire in Poland itself.

 

In a March survey by Warsaw's Public Opinion Research Center, up to three-quarters of Polish Catholics disagreed with their church's stance on homosexuality, contraception and extramarital relationships, and favored a change in Catholic teaching on issues from divorce to clerical celibacy.

 

The survey suggested Catholic attitudes had shifted markedly since the April 2005 death of the Polish pope, St. John Paul II, with 80 percent now favoring Communion for the divorced and remarried, and almost as many believing the church should accept practices such as in vitro fertilization.

 

"While most of those surveyed considered Pope Francis a moral authority, ever more people now see nothing wrong in behavior that contradicts church teaching," the research center's commentary noted.

 

"There is a growing dissonance between the stance of believers and church teaching."

 

Polish church leaders accused the center of reducing key teachings to a "popularity contest" and hotly rejected the survey's findings.

 

The Vatican's synod questionnaire indicated just the opposite, insisted Archbishop Stanislaw Gadecki, the bishops' conference president. Results showed that families who participate in the church's sacramental life, pray regularly and join Catholic movements are always happier, he said.

 

Yet the results of Vatican questionnaire have not been released, and the bishops' conference spokesman, Msgr. Jozef Kloch, says he has no knowledge as to how widely it was even distributed.

 

"This questionnaire doesn't amount to serious research -- nor can the views expressed by taken to represent any group position or set of conclusions," Koch told NCR.

 

"The results should be treated as positive, rather than negative, since they aren't aimed against anyone or any particular teaching or practice."

 

However contested, the questionnaire findings are to be submitted to the synod secretariat for including in the instrumentum laboris, or program of work, for the upcoming session.

 

The pope, meanwhile, has named European experts from Belgium, France, Italy, Spain and elsewhere as synod consultants, and Europeans are prominently represented in Rome study groups looking at the most sensitive family-related issues.

 

Europe's fractious and divided church looks set to play a key role when the synod convenes in October.

 

 

[Jonathan Luxmoore is a freelance writer covering European church news from Warsaw, Poland, and Oxford, England.]

 

http://ncronline.org/news/global/europes-fractious-catholics-set-out-their-views-synod-questionnaire