「学び合いの会-海外ニュース」 309号 

† 主の平和

日本の教会でも進行中の「小教区統合」について、その影響を

憂えるグループの意見の紹介記事です。

添付記事

1. 教皇への手紙:「小教区合併による巨大教区化はやめて」 

以上

 

改革グループから教皇への手紙:「小教区合併による巨大教区化はやめて」

サラ・マクドナルド 2015年5月13日 NCR(ナショナル・カトリック・リポーター誌)

 

 

ダブリン発: 世界24の改革グループのリーダーたちは、4月、アイルランドのリムリックで会合を開き、教皇フランシスコに対して、司祭数の減少に対応するために複数の小教区をまとめてメガ小教区(巨大小教区)にするという教会の政策の中止を強く求めている。

教皇に宛てた公開の手紙は、オーストラリアの Catholics for Renewal やイギリスのA Call to Action、スロバキアの the Society for Open Christianity for the 21st Century などのメンバー32人が署名しており、小教区の将来が「強く脅かされている」と教皇に訴えている。

 

手紙はまた、司祭不足の対策を模索する司教たちが「活動的で活気に満ちた小教区を合併して、無個性で管理不可能な巨大組織に変えようとしている。」と述べている。

 

合併は「時流に合った手法」のように見えるが、改革グループのリーダーたちは、このような新しいメガ小教区では秘跡が信者の日常生活から遠いものとなり、信者と司牧者の個人的なつながりが失われつつあると警告している。

 

そして司祭たちは、次第に魂のケアよりも教会の管理に心を注ぐようになり、信者たちは「疎外され、心もとなく不安な状態」に置かれるという。

 

手紙の署名者には次の人々がいる:

Fr. Helmut Schüller of the Austrian Pfarrer-Initiative in Austria; 

Martha Heizer, the excommunicated chair of We Are Church Austria; 

Deborah Rose-Milavec of Future Church in the U.S.; 

and Paul Collins of Catholics for Ministry in Australia.

 

上記メンバーを含む世界10カ国以上の国々から集まった代表者たちは、教会統治の方法や、教会刷新の進め方を検討するために、4月13日~17日、アイルランドで会合を持った。

 

アイルランドのカトリック司祭協議会(the Association of Catholic Priests)の共同創立者でレデンプトール会士のトニー・フラニー神父がNCRに語ったところでは、アイルランドで行われている教会統合は、通常およそ4小教区が一つにまとめられ、一人か二人の司祭が司牧に当たっている。ところが彼によれば、フランスでは統合の対象が10もの小教区にのぼり、たった一人の司祭が「こちらも、あちらも、どこでも」受け持って、ミサを維持しようとしているという。

 

「数年も経たないうちに、アイルランドも同じ状況になるでしょう。」と、手紙の署名者の一人であるフラニー神父は言う。

 

司牧の新しいモデルと小教区の新しい運営方法を求めて、手紙は、教皇フランシスコに対し、若者と年配者、離婚者と再婚者、ゲイとストレートといった各層の信者の中に、統合に反対する意見があること、また、全ての人を「例外なく歓迎する」活気に満ちた小教区を目指す新しい道筋が必要であると訴えている。

 

「わたしたちの教会のすべての部分において、共同責任と、共同の意思決定の新しい文化を創出しましょう」と手紙は述べている。

 

そして「カリスマを持つあらゆる人に、司牧の仕事への門戸を開きましょう。」と続ける。これは、既婚者と女性の司祭を望む意見とも取れる。

 

リムリックでの改革協議会では、Carmelite of Mary Immaculate*の司祭であるShaji George Kochuthara 神父が次のように述べている。「インドでは、信者が単なる傍観者ではなく、奉仕に参加する教会、誰もが平等な仲間であると感じられる教会へとスタイルを変えて行くために、わたしたちが何かをすべきだと感じている人が大勢いる。」

訳注:Carmelite of Mary Immaculate(無原罪の御宿りのカルメリータ修道会) インド南部、シロ・マラ

バール地方の男子修道会。インドで設立された最初のカトリック修道会。

 

教皇フランシスコは人々に物事を自由に議論するセンスを与えたと、バンガロールの神学校で教えている Kochuthara 神父は言う。

 

「わたしたちは、すべてのことで一致することはないかも知れないが、対話と、他者に耳を傾けようとすることの自由は持つべきである。多くの人々の心の安らぎとなるのは、話を聞いて貰うことであり、望むものを何でも手に入れることではない。他者に耳を傾ける風潮が教会内に広がらなければいけない。」

 

フラニー神父によれば、教会はもっとオープンに、人々を暖かく受け入れ、もっと活気に満ちた場所でなければならない。

 

改革のリーダーたちは、司牧の実践の新しいモデルと方式の改善を求めており、それによって、小教区のメンバーはそれぞれのカリスマを生かして役割を果たせるようになると語る。

 

「多くの小教区の信者たちは、ずっと以前から、どうやって物事を変えて行くことが出来るかを、身をもって示してきた。」とリーダーたちは言う。彼らは手紙の中で、司祭が生き生きと司牧の奉仕を続けることが出来るよう、信者たちがいかに「その個人的献身と、洗礼の召命の力によって」司祭の管理責任を軽減する手助けをしているかを強調している。

 

その一方で、既に司祭が不在になってしまった小教区では、小教区共同体の結束を守るために、また日常的な小教区運営のために、創造的な解決策が考えられている。

 

改革のリーダーたちが懸念するのは、現在の小教区評議会(教会委員会)の在り方である。リーダーたちは、それが機能していないと主張する。フラニー神父によれば「今の小教区評議会の弱点は、それが諮問機関に過ぎないことであり、その一方で、意思決定の主体は未だに小さな聖職者グループに限定されているという事実にある。」

 

「もしもわたしたちが、小教区からバチカンに至るまで、なんらかの有意義な共同責任を担うようになれば、それは変わるに違いない。」

 

「小教区評議会には、意思決定の権限を伴う実際の責任が必要なのだ。それによって司祭は自由に司牧の仕事が出来るようになる。」とフラニー神父は言う。

 

手紙の署名人たちは次のように警告する。「仮にこの願いに耳を塞ぐならば、司祭、助祭、司牧者、そして司牧に協力する信者たちが、もはや『この道を歩もう』としなくなることを恐れるのです。」

 

「しかしわたしたちには希望がある。」とフラニー神父は本誌(NCR)に語った。それは、この手紙に書かれている多くのことが、既に教皇フランシスコの予定(アジェンダ)に入っているからである。手紙はかなり強い要求をしているが、一方で教皇の計画に対して、強い支持をも表明しているとフラニー神父は言う。

 

手紙を書いた人たちは、感情を込めたトーンで次のように述べている。「教皇フランシスコ、あなたの教会に対するビジョンがわたしたちを動かしたのです。裁くのではなく理解するよう努めてください。扉を閉ざすことなく心を開いて下さい。ようやく今こそ、教会の原初のモデル、イエスがご自身の生涯を通してお示しになったモデルを、再び手にする時がやって来たのです。」

 

手紙の他の箇所でも、リーダーたちは、教皇のビジョンが第2バチカン公会議に沿ったものであると称賛している。

 

そして、教皇のビジョンを実現するためにも小教区が必要だと告げている。

 

「生き生きとした小教区がなければ、あなたのビジョンは抵抗に打ち勝つ基盤と必要な力を欠くことになります。わたしたちの小教区はイエスの教会の未来です。しかし、大きく脅かされているのは、まさにこの小教区の未来なのです。」と手紙は記している。

 

End.

 

 

Reform groups' letter to Francis: Stop combining parishes into megaparishes

Sarah Mac Donald  |  May. 13, 2015

 

DUBLIN The leaders of 24 international reform groups who met in Limerick, Ireland, in April are urging Pope Francis to call for a halt to the church's policy of clustering parishes into megaparishes as a response to the decline in priest numbers.

In an open letter, the 32 signatories -- from groups such as Catholics for Renewal in Australia, A Call to Action in England, and the Society for Open Christianity for the 21st Century in Slovakia -- tell Francis that the future of parish life is "massively threatened."

 

Bishops seeking to address the priest shortage are "merging active and vibrant parishes into anonymous and unmanageable superstructures," the letter said.

 

While merging seems to be "the formula of the hour," the reform leaders warn that in these new megaparishes, personal contact between people and ministers is being lost as the sacraments are removed ever further from the everyday life of church citizens.

 

This is leaving the faithful "alienated, unsettled and insecure" as priests are increasingly focused on administration instead of caring for souls.

 

Signatories included Fr. Helmut Schüller of the Austrian Pfarrer-Initiative in Austria; Martha Heizer, the excommunicated chair of We Are Church Austria; Deborah Rose-Milavec of FutureChurch in the U.S.; and Paul Collins of Catholics for Ministry in Australia.

 

They were among delegates from more than 10 countries who met in Ireland April 13-17 to discuss the governance of the church and to develop strategies for church reform.

 

Redemptorist Fr. Tony Flannery, co-founder of the Association of Catholic Priests in Ireland, told NCR that clustering in Ireland usually involves about four parishes being overseen by one or two priests. However, he said, in France, it can involve up to 10 parishes, with just one priest trying to keep Masses going "here, there and everywhere."

 

"It is only a matter of a relatively short few years before we have the exact same situation here," said Flannery, one of the letter's signatories.

 

Calling for new models of ministry and new ways of managing parish life, the letter tells Francis that there is opposition to clustering among a cross-section of the faithful -- young and old, divorced and remarried, gay and straight -- and that new paths to vibrant parishes where everyone is "welcome without exception" are needed.

 

"Let us establish a new culture of co-responsibility and joint decision-making in all structures of our Church," they write.

 

"Let us open the priestly office to everyone who has the charism," they continue, in what could be interpreted as a plea for married and women priests.

 

At the reform conference in Limerick, Fr. Shaji George Kochuthara, a Carmelite of Mary Immaculate, said in India, "many people feel we should do something to change the style of the church, to become a more participatory church that serves, one in which everyone feels equal and involved -- not as a spectator or just there to listen."

 

Francis has given people a sense of freedom to discuss things, said Kochuthara, who teaches at the seminary in Bangalore.

 

"We may not agree on everything, but we should have the freedom for dialogue and a willingness to listen. For many people, it is a relief that they are listened to -- not that they should get everything that they want, but a listening atmosphere should prevail in the church."

 

In Flannery's view, the church needs to be more open and welcoming, and it needs to be more vibrant locally.

 

Calling for the development of new management models and forms of pastoral ministry, the reform leaders say these would allow parishioners to participate according to their charisms.

 

"Many parishes have long shown by example how things can be done differently," they state. Their letter highlights how the faithful, "by their personal dedication, by strength of their baptismal calling," help relieve priests of their administrative responsibilities in order to free them to continue offering vital pastoral services.

 

Meanwhile, in parishes that no longer have priests, creative solutions are being developed to ensure cohesion within the parish community and in the day-to-day management of their parishes.

 

One source of concern for the reform leaders is the current model of parish council, which they claim isn't working. According to Flannery, "Its weakness lies in the fact that it is a consulting body, while decision-making is still restricted to a small clerical group."

 

"That must change if we are to have any sort of meaningful co-responsibility, from parishes right up to the Vatican," he said.

 

"We need real responsibility for parish councils with the power of decision-making, which would allow priests to be free to do the ministerial work," Flannery said.

 

Should their plea fall on deaf ears, the letter's authors warn that they are concerned that priests, deacons, ministers and committed parishioners will no longer be willing "to walk this path."

 

"But we are hopeful," Flannery told NCR, because a lot of what is in that letter is already part of Francis' agenda. Flannery said the letter, while making some strong requests, shows strong support for that agenda.

 

In some effusive lines, the letter writers state: "Pope Francis, your vision of the church moves us. Instead of judging, you seek to understand. Instead of closing doors, you open hearts. Here, the original model of the Church, as Jesus has shown us through his own life, is finally perceived again."

 

Elsewhere, the letter writers commend the pope for a vision that is in line with the Second Vatican Council.

 

They tell him he needs parishes to bring his vision of the church to life.

 

"Without active parishes, your vision lacks the foundation and the necessary strength to overcome opposition. Our parishes are the future of Jesus' Church; but it is exactly the future of these parishes that is massively threatened," they write.

 

 

[Sarah Mac Donald is a freelance writer based in Dublin.]

http://ncronline.org/news/global/reform-groups-letter-francis-stop-combining-parishes-megaparishes