「学び合いの会-海外ニュース」 305号 

† 主の平和

先月の記事になりますが、教皇フランシスコが、フィリピン訪問の

帰途、機中の記者会見で注目すべき発言をしています。

それを伝えるNCRの記事の翻訳が届きました。

広がりのあるテーマに触れているため、ご参考までに添付します。

添付記事

1. 教皇、国際援助の手法を非難。子供の数の制限示唆(NCR)

 

「教皇、国際援助の手法を非難、子供の数の制限を示唆」

           ジョシュア・マッケルウィー 2015年1月19日 NCR

 

 

マニラからの帰途、教皇専用機中にて

教皇フランシスコは、財政的に安定した国々が発展途上国を援助する手法を、遠回しではあるが鋭く批判し、そういった国々は、時に20世紀の独裁政治を思わせるような特権(譲歩)を求めることがあると述べた。

 

教皇はまた、カトリック信者には子供の数を制限するという道徳的責任があるかも知れないという、前代未聞とも思われる発言をしたが、その一方で、教皇ヨハネ・パウロ2世による人工的な産児制限の禁止を再確認した。

 

教皇フランシスコの開発援助に関する発言は、彼が家庭生活の「イデオロギー的植民地化」と呼ぶものに対する、先の警告の説明である。(先の警告とは、先週フィリピンでの複数の家族との面談の間に出されたもの。)

教皇は月曜日、マニラからの帰途の機中でメディアに語りかけ、知人で、貧しい人々のための新しい学校を建設するお金の提供を受けた教育大臣の話を詳しく語った。

 

教皇によれば、その大臣はお金を受け取るために、教皇が「ジェンダー理論」と呼ぶものを教える教科書を使うことに同意しなければならなかった。

訳注:ジェンダー理論: ジェンダー(性別)が社会の構成概念の一つであるとする考え方。前教皇ベネディクト16世は、2008年12月、バチカンで聖職者向けに行った年末の演説で、ジェンダー理論に触れ、男性と女性との区別をあいまいにするとして批判した。この批判には、同性愛者や性転換者の権利が拡大していることへの懸念がある。神が各人に与えた性や性交渉のあり方を歪曲することは、自然破壊と同様であり、結局は人間の「自己破壊」に繋がるという見解である。教皇によるジェンダー理論の批判対象は、同理論の、性が(神の生まれつき与えたものではなく)社会的に構成されるという主張に限られている。

(海外ニュース286号添付:「家庭シノドスへのバチカン文書、憐みと更なる配慮を求める」参照)

 

「これはイデオロギー的な植民地化です。」と教皇は言う。「それは、ものの見方や精神構造を変える、あるいは変えようとする思想で、人々を植民地化するものです。」

 

教皇は更に続けて、「これは今に始まったことではありません。同じことが前世紀の独裁者たちによっても行われました。独裁者たちは自分の主義をひっさげてやって来ます。バリッラ(イタリアファシスト党の青年活動)や、ヒットラー・ユーゲント(ヒットラー青少年団)を思い出してください。」

 

教皇は続けて、「彼らは人間を植民地化しました。それはどれほどの苦しみだったでしょうか。人は自由を失ってはならないのです。」と述べた。

「すべての国民が、夫々の文化を持っています。しかし植民地の支配者は、条件を押し付けることによって「民族」のアイデンティティーを失わせ、ホモロジー(相同性)を作ろうと模索します。」                                     

訳注:ホモロジー(homology) 異種の生物間に成り立つ形態的に等しい構造関係。例として、鳥の翼とコウモリの翼手があげられる。相同。相同性。

教皇フランシスコは、月曜日にフィリピンからローマに戻る教皇専用機の機中で、ほぼ1時間に及ぶ記者会見を行い、先週の金曜日に述べたコメントに関する質問に答えた。その中で教皇は、上記の植民地化的行為を、同性間の結婚の合法化や避妊行為への取り組みと明白に関連づけて警告した。

 

産児制限禁止を再確認

教皇フランシスコは言う。ヨハネ・パウロ2世は、1960年代にはその1968年の回勅「フマネ・ヴィテ」で避妊禁止の概要を説明し、70年台には、急激な人口増加は取り返しのつかない世界的食糧危機につながると示唆した「新マルサス主義」に強く釘を刺している。

 

教皇フランシスコは、特にイタリアやスペインで顕著な出産率の低下を指摘し、そのような新マルサス主義は、「人間性をコントロールしようとするもの」と述べた。

 

しかし同時に教皇フランシスコは、教皇としては全く前例がないと思われる発言をした。それは、両親は子供の数を制限する責任を有しているかも知れないと示唆するものである。

「これは、キリスト者は子供を生み続けなければならないという意味ではありません。」

 

教皇は数ヶ月前ローマの小教区で出会った女性について話した。彼女は、帝王切開で既に7人の子供を産んでいて8人目を妊娠していた。教皇は記者に問いかけた。「彼女は7人の孤児を残したいと望むでしょうか?」

 

「これは神を試す(誘惑する)ことです。」教皇はさらに付け加えて、「それは無責任な行為です。」そして、カトリック信者は「責任ある親」について語るべきであると述べた。

 

「さて、どうしたらいいでしょうか?」と教皇は問いかける。「対話によって、一人一人が、それぞれの司牧者と共に、責任ある親としての道を模索するのです。」

 

「神は責任ある方法を与えて下さいます。表現は適切でないかもしれませんが、よいカトリック信者であるためにはウサギのようでなければならないと考える人もいます。それは違います。」

 

「これは明白なことです。そのために、教会には結婚グループがあり、この問題の専門家が居り、司牧者が居るのです。」と教皇は言う。そして教会の法に従う慣行のための用語を使って続ける。「これを正当(licit)に手助けしてきたやり方を、わたしはたくさん知っています。」

 

教皇はフィリピン人ジャーナリストからの質問に答えて産児制限について話した。フィリピンでは避妊の問題が議論を呼んでいる。それは、最近フィリピン政府が、カトリック司教団からの強硬な反対を押し切りって避妊手段を認めたからである。

 

産児制限とイデオロギー的植民地化に関する教皇の応答内容は、他の数多くのテーマに波及する多岐にわたる問題の一部である。そこには、教会組織の腐敗、教導職における女性の立場、そして教皇が新しい形の「国が後押しするテロ」にも譬える、貧しい人たちへの地球規模の虐待なども含まれている。

 

『イデオロギー的植民地化』

教皇フランシスコは「イデオロギー的植民地化」についての自身の考え方をさらに説明した。教皇は、昨秋のシノドスの間に、アフリカの司教団からその問題についての懸念を耳にしたという。アフリカの司教たちによれば、必要に迫られた財政的援助を受ける際、相手から示される交換条件について難しい選択に直面することが多いと言う。

 

「私もこのようなことを沢山見てきたと、多くの人に話しています。」と教皇は語る。

 

教皇は、そのような植民地化を、彼がしばしばグローバリゼーションの進行に関して行う批判を引き合いに出してこう述べる。多民族の均質化は、「球体のグローバリゼーションであり、そこではすべての点が中心から等距離になってしまうのです。」

 

「グローバル化は重要なことだが、球体のように、多面体のようになるのではありません。謂わば、あらゆる民族、あらゆる地域が、イデオロギー的に植民地化されることなく、各々のアイデンティティーを保ちながらグローバル化することが大切なのです。」

 

教皇フランシスコはこの日、9月のアメリカ訪問旅行のより具体的な計画も明らかにし、フィラデルフィア、ニューヨーク、ワシントンを訪問する予定だという報道を正式に確認したが、西海岸やメキシコ国境まで旅行出来る可能性は低いと述べた。    (以下略)

 

 

 

 

“Francis lambasts international aid, suggests Catholics should limit children” 

by Joshua J. McElwee|Jan. 19, 2015 NCR

 

Abroad the papal plane from Manila:  

Pope Francis has obliquely but sharply criticized how financially stable nations lend aid to developing countries, saying they sometimes require concessions that strike echoes of 20th century dictatorships.

 

The pontiff has also made what appears to be an unprecedented statement that Catholics may have a moral responsibility to limit the number of their children, while reaffirming Pope Paul VI’s ban on artificial means of birth control.

 

Francis’ statement about development aid was a clarification of an earlier warning against what he called an "ideological colonization" of family life, made during a meeting with families in the Philippines last week. Speaking to media Monday, Francis recounted a story of a public education minister he knew who was offered money to construct new schools for the poor.

 

To receive the money, said Francis, the minister had to agree to use a course book with students that taught what the pontiff called "gender theory."

"This is the ideological colonization," said the pope. "It colonizes the people with an idea that changes, or wants to change, a mentality or a structure."

"It is not new, this," he continued. "The same was done by the dictators of the last century. They came with their own doctrine -- think of the Balilla [youth groups of Fascist Italy], think of the Hitler Youth."

 

"They colonized the people," he continued. "How much suffering -- peoples must not lose liberty."

"Every people has its own culture," said Francis. "But when imposed conditions come from the imperial colonizers, they seek to make [peoples] lose their own identity and make an homogeny."

 

Francis was speaking Monday in a nearly hour-long press conference aboard the papal plane traveling back to Rome from the Philippines. He was answering a question about remarks he made last Friday, in which he warned against such colonization in an apparent reference to efforts to legalize same-sex marriage and to use of contraception.

 

Reaffirms prohibition on birth control

Francis said Pope Paul VI, whose 1968 encyclical Humanae Vitae outlined the contraceptive ban, was warning against a "Neo-Malthusianism, " a reference to a theories that suggested in the 1960s and ’70s that exponential global population growth would lead to an irreversible world food crisis.

 

Citing the low rates of birth specifically in Italy and Spain, Francis said such Neo-Malthusianism "seeks to control humanity."

At the same time, however, Francis made a statement that seems without precedent for a pope, suggesting that parents may have a responsibility to limit the number of their children, saying: "This does not signify that the Christian must make children in series."

 

Telling the story of a woman he met in a parish in Rome several months ago who had given birth to seven children via Cesarean section and was pregnant with an eighth, Francis asked: "Does she want to leave the seven orphans?"

"This is to tempt God," he said, adding later: "That is an irresponsibility." Catholics, the pope said, should speak of "responsible parenthood."

 

"How do we do this?" Francis asked. "With dialogue. Each person with his pastor seeks how to do that responsible parenthood."

"God gives you methods to be responsible," he continued. "Some think that -- excuse the word -- that in order to be good Catholics we have to be like rabbits. No."

"This is clear and that is why in the church there are marriage groups, there are experts in this matter, there are pastors," Francis said. Using the term for a practice that follows church law, he continued: "I know so many, many licit ways that have helped this."

 

Francis was speaking about birth control in response to a question from a Filipino journalist. Use of contraception in the Philippines is a contentious issue, as the Philippine government only recently approved contraceptive access against forceful opposition from Catholic bishops.

 

The pope's responses regarding birth control and ideological colonization were part of a wide-ranging conference that touched on a number of other subjects, including: Corruption in church structures, the place of women in church leadership, and global mistreatment of the poor that the pontiff said could be likened to a new form of "state-sponsored terrorism."

 

‘Ideological colonization’

Continuing to clarify his concept of "ideological colonization," Francis said he heard concerns about the matter from African bishops during last fall's Synod, who told him they often face difficult choices when presented with conditions of acceptance on much needed financial aid.

"I say to many that I have seen this," said the pope.

 

Francis compared such colonization to criticisms he has frequently made about the process of globalization -- saying that the homogenizing of peoples is "the globalization of the sphere -- [where] all the points are equidistant from the center."

"It is important to globalize but not like the sphere -- like the polyhedron," he continued. "Namely, that every people, every part, conserves its own identity without being ideologically colonized."

 

Francis on Monday also revealed more concrete plans for his trip to the U.S. in September, confirming reports that he is planning to visit Philadelphia, New York, and Washington but saying it is unlikely he will able to travel to the West Coast or to the U.S./Mexico border.

 

http://ncronline.org/news/francis-lambasts-international-aid-suggests-catholics-should-limit-children