「学び合いの会-海外ニュース」301号
アメリカの女子修道会の連合組織は、その在り方を巡って数年前から
バチカンの査察調査を受けており、各方面に論争を巻き起こしてきまし
たが、この程(16日)、バチカンで調査結果が記者発表されました。
記者発表の詳細は翻訳を待ってご報告しますが、査察の経緯を知る
ための解説記事を仲間(女性)が翻訳して下さいましたので添付します。
添付記事
1. 「教皇庁、米女子修道会の査察結果を公表へ」 NCR
教皇庁、米女子修道会の査察結果を12月16日公表予定
ジョシュア・マッケルウィー 2014.12.4 NCR(ナショナル・カトリック・リポーター)
バチカンの報道担当補佐官を務める司祭が語ったところによれば、バチカンは、アメリカの女子修道会の詳細な査察調査のうちの一つの結論を12月の記者会見で発表する予定だ。この調査は各方面に議論を巻き起こし、多くの異論が出されている。
バジリウス会士のトマス・ロシカ神父はカナダ人で、英語とフランス語の広報活動の面で常時バチカンを補佐している人物である。そのロシカ師によれば、「教皇庁からの訪問」と呼ばれるこの調査のレポートが、12月16日に発表されると言う。
今回の訪問調査は、アメリカの女子修道会に対して行われた2回の個別調査のうちの一つである。2回に亘る調査は、最近の数年間にバチカンの別々のスタッフによって行われたが、これに対してアメリカ全土の修道女と信徒の双方から激しい抗議の声が上がった。人々は、バチカンの調査が修道女の生活についての偏った根拠のない判断に基づいていると言う。
ロシカ師は、カナダのカトリックメディアのネットワーク「塩と光」の最高責任者でもあるが、デトロイト地域のカトリック学校で講演をした後、デトロイト・フリー・プレスの水曜インタビューの中で、調査報告が12月に発表されることを確認した。その報告が「アメリカ合衆国の修道女たちにとって大変有益なメッセージとなればよいのだが。」とロシカ師はデトロイトの新聞に語った。
バチカンの報告の発表が差し迫っているということは、この数週間公然の秘密となっていたが、バチカンの当局者たちはこれまで発表を確約することを避けてきた。ロシカ師によれば、報告は12月16日のバチカンでの記者会見で発表されることになっている。
この会見に出席するのは、おそらくバチカンの修道(奉献)生活関連部局(訳注:奉献・使徒的生活会省か?)のリーダーたちであろう。この部局は2008年に調査に着手した。またアメリカ女子修道会のリーダーも数名出席するようだ。ことによると、彼女たちの統括組織であるLeadership Conference of Women Religious(女子修道会総長協議会)のリーダーも出席するかも知れない。
このグループは(頭文字をとって)LCWRとして知られ、自分たちの働きに対してバチカンの教理省が個別に行った調査の結果に対処しようとしている。
教皇ベネディクト16世は2012年、5年任期のLCWR監察官としてPeter Sartain大司教を指名し、その規則、綱領、各修道会の関係を改革するための幅広い権力を彼に与えた。
ローマ教皇庁の調査は2008年、フランク・ロデ枢機卿の命令の下、正式には「奉献・使徒的生活会省」として知られる「修道者省」によって独自に着手された。
ロデ枢機卿は同省の長官で今は引退している。彼は最初、この調査の目的は女子修道会の共同体、祈り、使徒的生活を調べることにあると語っていた。
しかし、およそ1年間の調査の後、ロデ師はバチカンラジオで、この調査は「アメリカの教会の有力な代表者」を含む、人々の懸念に応えたもので、その懸念とは「アメリカ人の修道生活における違反行為または怠慢」に関わるものであると語っている。
ロデ師は、「とりわけ、これらの修道会に広がっているある種の世俗的なメンタリティーと、多分、一定の“フェミニスト”的傾向も関わっていると言えるのかも知れない。」と述べた。
訪問調査のニュースに続き、ロデ枢機卿がアメリカ司教協議会に対して、この調査の費用負担の援助を要求していたという報道があった。その額はおよそ100万ドルと推定される。
バチカンは、調査のための公式の「教皇庁からの訪問者」として、イエスの聖心の使徒修道女会のマザー・マリー・クレア・ミレーア総長を指名した。彼女はアメリカ合衆国の数多くの独立した女子修道会を訪問し調査する任務を任された。
訪問調査は、Sr.ミレーアとアメリカ合の女子修道会の127人の総長との会合で始まった。修道会の独自性、統治、召命促進、養成方針、霊的生活、そして財政について尋ねるアンケート用紙が、修道会の指導者たちに配られた。
調査の範囲と目的への懸念から、多くの女子修道会の指導者が、アンケート用紙への記入を拒否し、回答の代わりに修道会の会憲のコピーを送り返すことも拒否した。
この反応に対して、Sr.ミレーアは、アンケートへの回答を再考するよう求める手紙を少なくとも3通書くことになった。そのうちの一つに、彼女は、自分の最終報告は「受け取ったデータで考慮することしかできないのです。」と書いている。
「ですから、教皇庁の訪問の際、アンケートに記入されていないデータを送って下さるようもう一度お願いします。」彼女は、2010年12月3日の手紙にこのように記した。
アンケート用紙回収後の2010年、Sr.ミレーアが編成した訪問チームが全国を回って、修道会の会員やリーダーに面会した。数十人のボランティアが、およそ90個所の修道会を訪れた。
調査が続く一方で、バチカンの「奉献・使徒的生活会省」の担当者が替わり、雰囲気(トーン)が著しく変化したようだ。同省の「ナンバー2」であるジャンフランコ・ガルディン大司教が2009年に引退し、2011年にはロデも同省を離れた。
2010年にジョセフ・トビン大司教が同省の次官のポストを引き継ぐと、調査の姿勢が変わった。アメリカ人のトビン大司教は、調査の進め方を話し合うためにアメリカの修道女らと面会した。大司教は2011年8月、カトリック・ニュース・サービスに、訪問の最初の段階の話し合いは「真に友好的」であったとは言えないと語り、シスターたちとバチカンとの間の亀裂を修復することを望んでいると述べた。
トビン大司教は、その後「奉献・使徒的生活会省」を離れ、現在はインディアナポリスの大司教になっている。現在、同省の次官はスペイン生まれのフランス人ホセ・ロドリゲス・カルバッロ大司教である。
2011年の前半には、ロデに替わりブラジル人のジョアン・ブラス・ジ・アビス枢機卿が同省の長官となった。
ブラス・ジ・アビス枢機卿は、2013年の世界の女子修道会の指導者達の集会で話し、自分は修道女たちと司教団の協力関係の「新しい姿勢」を模索していると述べた。
その後、同枢機卿は「国際総長連合」(the International Union of Superiors General)の集会で、「カリスマと位階制は、共に教会における重要な二つの特質であることをよく考えなければならない。」と語った。
「どちらかが他方よりも重要であるということはない。預言的特質と管理的特質の双方が教会を形作っているのだ。」枢機卿は続けて、「しかし、私たちは“新しい姿勢”で行動しなければならない。競い合うのではなく、友好的な姿勢で行動すべきなのだ。」
訪問調査報告の記者会見が行われる12月16日には、ブラス・ジ・アビス枢機卿、ロドリゲス大司教、そしてLCWR(女子修道会総長協議会)のリーダーたちが出席するものと予想される。
現在のLCWRの代表者は、聖母の汚れなき御心修道会(Immaculate Heart of Mary)のシスター・シャロン・ホランドである。彼女はかつて21年間、バチカンの「奉献・使徒的生活会省」のスタッフ」として働いたことのある優れた教会法の専門家である。
ロシカ師は12月3日、記者会見には、シスター・ホランドと共に、LCWRと比べてかなり小規模な連合組織である「女子修道会総長管区長評議会(the Council of Major Superiors of Women Religious)」の代表者マザー・アグネス・メアリー・ドノヴァンも同席することになるだろうと述べた。
(アメリカ全土の)修道女や一般のカトリック信者は、バチカンの報告が自分たちの生活をどのように評価するのだろうかと待ち構えているが、もしも奉献・使徒的生活会省が、アメリカの女子修道会の状況について、何らかの正式な対応や自主的な行動を求める必要があると判断した場合、果たしてどんな措置を講ずるのかについては、未だ流動的である。
バチカンは、かなり頻繁に「教皇庁からの訪問」を実施したが、その訪問にどんな権威があるのか、あるいは訪問する側にはどんな変更を命じる権限を与えられているのか、いずれも教会法には特定されていない。
修道会に関する教会法は、それが教会権威の司法権(裁定権)の下にあるということは明確に示しているが、その権威が、ある修道会(の在り方)を修正するために具体的にどんな行動を取ることができるかは書かれていない。
この点については、教会法576条(訳注:「奉献生活の会」に関する項目)に広義の記述が見られる。『福音的勧告を解釈し、法によってその実践を規整し、その永続的生活形態を教会法上の承認によって設定することは、教会の権限ある権威者に属する。また会が創立者の精神と健全な伝統に従って成長し、栄えていくようその権限の範囲において配慮することは、同権威者の義務である。』
シスター・ホランドは、1985年に著した教会法の解説書の中で、次のように述べている。
「教会法のこの個所は、修道会としての生き方が、福音の教え、あるいはその固有のカリスマから遊離しているように見えるときには、教会は、それを指摘する義務があると言っているのだ。」
「教会の権威に課せられたこの義務は、その修道会が内包するカリスマの成長と発展を妨げることなく遂行されなければならない。」シスター・ホランドはその著書「教会法の規範:テクストと注解(The Code of Canon Law: A Text and Commentary)でこのように記している。
彼女はこうも述べている。「この規定は、修道会メンバーの(会への)忠誠という第一の責任を決して減ずるものではない。」
End.
U.S. sisters' apostolic visitation report to be released Dec. 16
by Joshua J. McElwee Dec. 4, 2014 NCR(National Catholic Reporter)
The Vatican will be releasing the results of one of its controversial and contentious investigations of U.S. women religious at a press briefing in December, a priest who assists the Vatican's press office has said.
Basilian Fr. Thomas Rosica, a Canadian who frequently helps the Vatican with English and French language press, said the Vatican will release a report on the investigation, known as an apostolic visitation, Dec. 16.
The visitation, one of two separate investigations of U.S. women religious launched by different Vatican offices in recent years, sparked protest from both the women and lay people throughout the country who said it was based on unfair and unfounded judgments about the women's lives.
Rosica, who is also the CEO of the Canadian Catholic media network Salt and Light, confirmed the December release of the report in an interview Wednesday with the Detroit Free Press after giving a talk at a Detroit-area Catholic school.
The report "will hopefully be a very positive message for women religious in the United States," Rosica told the Detroit paper.
The pending release of the Vatican report had been something of an open secret in recent weeks, but Vatican officials had earlier declined to confirm the release. According to Rosica, the report will be released Dec. 16 at a Vatican press conference.
Likely to attend the conference are leaders of the Vatican's office for religious life, which launched the investigation in 2008. Also likely to attend are several leaders of U.S. women religious, perhaps even the leadership of their primary umbrella group Leadership Conference of Women Religious.
That group, commonly known as LCWR, is dealing with the results of a separate investigation into their functioning by the Vatican's Congregation for the Doctrine of the Faith.
As part of that doctrinal investigation, Pope Benedict XVI in 2012 appointed Seattle Archbishop Peter Sartain as the LCWR overseer for five years, giving him wide power to reform its statutes, programs and affiliations.
The apostolic visitation was launched separately in December 2008 by the religious congregation, known formally as the Congregation for Institutes of Consecrated Life and Societies of Apostolic Life, at the command of Cardinal Franc Rodé.
Rodé, who was the head of the congregation but has since retired, initially said its aim would be to study the community, prayer and apostolic life of women's orders.
But almost a year into the study, Rodé told Vatican Radio the investigation was in response to concerns, including "by an important representative of the U.S. church," regarding "some irregularities or omissions in American religious life."
"Most of all, you could say, it involves a certain secular mentality that has spread in these religious families and, perhaps, also a certain 'feminist' spirit," Rodé said then.
News of the visitation was followed by reports that Rodé had asked the U.S. bishops' conference to help cover the cost of the visitation, which was estimated at about $1 million.
To undertake the visitation, the Vatican appointed Mother Mary Clare Millea, superior general of the Apostles of the Sacred Heart of Jesus, as an official "apostolic visitator" charged with visiting and surveying the multitude of separate orders of U.S. women religious.
The visitation process began with meetings between Millea and 127 heads of women's orders in the United States. A questionnaire was sent to the leaders of the orders asking them about the orders' identity, governance, vocation promotion, formation policies, spiritual life and finances.
Concerns about the extent and intent of the investigation led many women religious leaders to refuse to fill out the questionnaire or to send back copies of their orders' constitutions in place of answers.
That response led to Millea writing at least three letters asking them to reconsider filling out the questionnaire. In one, Millea wrote that her final report "can only take into account the data I have received."
"Therefore, I once again invite you to send me the data not previously submitted on the apostolic visitation questionnaire," she wrote in that Dec. 3, 2010, letter.
After collection of the questionnaires, teams of visitors coordinated by Millea traveled across the country in 2010 to meet with congregational leaders as well as individual members of religious orders. Dozens of volunteers visited about 90 congregations.
As the investigation continued, a marked change in tone seemed to occur as personnel at the Vatican's congregation for religious changed. The "number two" man at the congregation, Archbishop Gianfranco Gardin, retired in 2009, and Rodé left in 2011.
When Archbishop Joseph Tobin took over the secretary post at the congregation in 2010, the rhetoric of the visitation shifted. Tobin, an American, met with U.S. women religious to discuss the process. He told Catholic News Service in August 2011 that the initial phase of the visitation "didn't really favor" dialogue and said he hoped to heal rifts between sisters and the Vatican.
Tobin has since left the Vatican's religious congregation and is now the archbishop of Indianapolis. Archbishop José Rodríguez Carballo, a Spanish-native and Franciscan, now serves as the congregation's secretary.
Brazilian Cardinal João Bráz de Aviz replaced Rodé as head of the congregation in early 2011.
Speaking at a gathering of the leaders of global women religious orders in 2013, Bráz de Aviz said he was seeking a "new attitude" of cooperation between women religious and bishops.
"We have to reflect on the fact that both charism and hierarchy are two dimensions essential in the church," the cardinal said then, at a meeting of the International Union of Superiors General.
"Neither is greater than the other. Both the prophetic and the governing dimensions form the church," he continued. "But a new attitude must govern us – not competition but an attitude of welcoming."
Among those likely to attend the Dec. 16 press conference launching the report of the apostolic visitation are Bráz de Aviz, Rodríguez, and LCWR leaders.
LCWR is currently led by Immaculate Heart of Mary Sr. Sharon Holland, a respected canon lawyer who previously served for 21 years as a staff member of the Vatican religious congregation.
Rosica said Wednesday that Holland would be joined at the press conference by Mother Agnes Mary Donovan, the head of a much smaller rival umbrella group of U.S. women religious known as the Council of Major Superiors of Women Religious.
As the women and lay Catholics wait to see what the Vatican report says about their lives, it remains unclear just what actions the Vatican's religious congregation could take if it found the situation of U.S. women religious needed some sort of formal response or initiative.
While the Vatican conducts apostolic visitations on a fairly regular basis, the Code of Canon Law is rather non-specific about what authority those visitations have or what changes they can mandate to occur for those visited.
Although the canons governing religious institutes make it clear they are under the jurisdiction of ecclesial authority, they do not state what specific actions that authority can take to revise an institute.
Canon 576 states it broadly: "It is for the competent authority of the Church to interpret the evangelical counsels, to direct their practice by laws, and by canonical approbation to establish the stable forms of living deriving from them, and also, for its part, to take care that the institutes grow and flourish according to the spirit of the founders and sound traditions."
Writing in a 1985 commentary on canon law, Holland said that specific canon "means that the church has the duty to point out to an institute when its way of life seems to have drifted outside the gospel or its own particular charism."
"This is to be accomplished by church authority without blocking the growth and development of the charism of the institute from within," wrote Holland in a chapter in The Code of Canon Law: A Text and Commentary.
"This in no way diminishes the primary responsibility of the members of an institute for their own fidelity," she said then.
[Joshua J. McElwee is NCR Vatican correspondent. His email address is jmcelwee@ncronline.org. Follow him on Twitter: @joshjmac.]
http://globalsistersreport.org/news/us-sisters-apostolic-visitation-report-be-released-dec-16-16201