「学び合いの会-海外ニュース」 287号

† 主の平和

お隣の韓国はいま教皇フランシスコを迎えて盛り上がって

いますが、こちらは短い「お勉強」のニュースです。

この2月、バチカンの組織に、国務省に次ぐ重要度を与え

られたとされる「財務省」が新設されました。

これを機会にCNSの記者が主な省庁の沿革や機能を簡単な

記事にまとめ、それを仲間の一人が翻訳して下さいました。

カトリック中央協議会のHPにある「バチカン組織図」は、

再編成された新組織を(現時点では)反映していません。

新組織の詳細は下記英文記事をご覧ください。

http://en.wikipedia.org/wiki/Roman_Curia

添付記事

1. 「ニーズの変化で名称も変化:

   教皇庁の再編成はバチカンの伝統」 CNS

以上

 

「ニーズの変化で名称も変化:教皇庁の再編成はバチカンの伝統」

シンディ・ウッデン CNS(カトリック・ニュース・サービス) NCR  2014年7月31日

バチカン市発:教皇フランシスコとその国際枢機卿協議会は、ローマ教皇庁を最も効果的、効率的に組織化する方法の研究を続けている。ローマ教皇庁は大きな官僚組織で、拡大の長い歴史を持っているが、安定化(整理統合)の試みはごくわずかで、短期的なものしか行われなかった。

何世紀もの間、教皇たちは枢機卿会議に助けられて職務を遂行してきた。具体的な問題は「教皇庁尚書院」と呼ばれる部署が担当していた。しかし、教会が成長し、問題がさらに複雑化して一刻を争う対応が必要になるにつれ、省庁が付け加えられて行った。最初にできたのは検邪聖省である。これは、異端か正統か裁くために、1542年に教皇パウロ3世によって設立された裁決機関である。

次の40年間に、いくつかの省が加えられたが、ローマ教皇庁がようやく組織化されたのは、1588年、シスト5世の時であった。

現在、ローマ教皇庁の主な省庁は「国務省」と、枢機卿が長官を務める「9つの省」、そして枢機卿と大司教が議長を務める「12の評議会」である。1988年のヨハネ・パウロ2世の使徒憲章Pastor Bonus(善き牧者)によれば、各省庁は、教皇が「全教会と個々の教会の利益のため、またそれらへの奉仕のために」その教皇職を実行するのを助けるという使命を共に担う。

教皇フランシスコは、教皇庁の役人たちへの昨年12月のスピーチの中で、役人たちの中に「聖人」が居ることは知っているが、奉仕と謙遜への献身は、いつも新しくされることが必要であると述べた。

「個々の教会とその司教たちへの奉仕の姿勢が失われてしまったら、教皇庁の組織は、肥大化し官僚化した「税関」に変わり、絶えず目を光らせ、尋問することによって、聖霊の働きと、神の民の成長を妨げることになる。」と教皇は語った

教皇庁再編成への第一歩として、教皇フランシスコは、2月に財務省(Secretariat for the Economy)を創設した。

訳注: 財務省は、教皇並びにバチカン市国の経済活動全般の裁定権を持つ省である。教皇フランシスコは2014年2月24日、使徒的書簡 Fidelis dispensator et prudens の中でこの省の設置を指示した。省の長官は枢機卿で教皇に直接の報告義務を持つ。国務省に次いで「secretariat」の名を冠した二つ目の省であり、このことは他の部局に比較して重要度が高いことを示している。初代長官にはシドニーの枢機卿ジョージ・ぺルが任命され「出来る限り速やかに仕事に着手するよう」要請されている。

ローマ教皇庁の現在の構造は、後のわずかな変更はあるが、聖ヨハネ・パウロにより、使徒憲章Pastor Bonusに沿って設立されたものである。

使徒憲章では、教皇庁の省庁は「法律上みな平等」であると確認しているが「省」は「評議会」と比べ、教会の問題についてより直接的な裁量権を教皇から委託されている。

ここで、主にバチカンの年鑑(Annuario Pontificio)の記録に基づいて、現在の国務省と九つの省の簡単な歴史をたどってみたい。

 

国務省

――総務局、 

――外務局

現在の国務省の構造:二つの局があり、一つの局は、教会内の業務を処理し、もう一つはバチカンの外務省の機能を果たしている。そして、ローマ教皇庁全体の働きを調整する機関としての国務省の役割は、Pastor Bonus「善き牧者」に立案されている。この省の古い起源は、教皇の実際の秘書から始まったとされ、そこには世界中の教皇使節、すなわちバチカン大使との連絡をとることも含まれていた。

財務省

この省は、財務審議会に対応する部署であり、聖座とバチカン市国内の経済活動と管理活動のすべてを掌握する。そこには、予算編成、財政計画、雇用、調達、そして詳細な財務報告書の作成も含まれる。(前出の訳注参照)

教理省 

もっとも古くからある省で、6人の枢機卿により異端と教会分裂が疑われるケースを裁定する委員会として始まった。教理省は、カトリック信仰の促進と擁護を任されている。1968年までは、教皇自身がこの省の長官を務め、枢機卿のだれかを次官に指名していた。

東方教会省

1862年に、教皇ピオ9世によって、信仰宣伝省(the Congregation for the Propagation of the Faith)の中に「東方典礼」に関する諸問題を扱うセクションとして設立された。その後、1917年に単独の省になった。この省は、東方教会と東方教会の信者が、圧倒的にラテン典礼が多い地域で暮らせるように、そして聖地の至る所に教会が現存するように支援することを任されている。

典礼秘跡省

この省は典礼の問題や秘跡の執行を検討する省で、自立の時代と統制の時代を交互に繰り返してきた。秘跡規律省(The Congregation for the Discipline of the Sacraments)が、1908年、教皇ピオ10世によって設立された。また、典礼省(The Congregation for Divine Worship)が、1969年、教皇パウロ6世によって設立された。教皇パウロは、1975年にこの二つを統合し、その後、1984年にヨハネ・パウロは、二つを分けて独立させた。4年後、使徒的憲章 Pastor Bonus(善き牧者)によって、二つの省は再び統合された。

列聖省

この省は、列聖の候補者たちへの調査過程を担当し、列聖の準備をする省で、1588年に教皇シスト5世によって設立された。当時この省は、祭儀と典礼の問題にも対応していた。バチカン年鑑によると、列聖へのプロセスは、教会の典礼暦に加えられることで締めくくられるので、この二つの省が一つになっていたということである。この二つのセクションは、1969年、教皇パウロ6世によって分けられ、別の省になった。

 

司教省

この省も1588年に設立され、当初は主に、司教区の設定、あるいは合併の責任を負った。

1908年、教皇ピオ10世はこの省に、教皇によって任命される新しい司教の人選を調整する仕事、司教たちが司教区を管理するやり方の監督、そして神学校の指針の設定の責任を加えた。1958年、教皇ピオ12世はラテン・アメリカ委員会を設立し、司教の権限の下に置いた。教皇パウロ6世が、1967年にごくわずかな変更を加え、そして現在のこの省の形は、Pastor Bonus(「善き牧者」)によって確立した。

福音宣教省

この省は、その起源を、教皇ピオ5世と教皇グレゴリオ13世が1500年代後半に、インド・北ヨーロッパで最近プロテスタントになった地域を含む外国への宣教を調整するために設けた枢機卿委員会へと遡る。1599年に、教皇クレメンス8世が、信仰伝道省(the Congregation for the Propagation of the Faith)を設立したが、これは数年しか保たなかった。1622年に教皇グレゴリオ15世がこれを再興した。バチカン年鑑によると、この省は、全世界への福音宣教と宣教協力を促進し、アフリカ、極東、そして太平洋地域やラテン・アメリカ地域の司教、司教区、司法権の発展に対して特別な責任を負う。

聖職者省

1967年までは公会議省(the Congregation of the Council)として知られたこの省は、1564年にトリエント公会議の布告の正しい解釈と導入を促進するために設立された。時を経て、これらの仕事はバチカンの様々な部署に移管され、この省は、徐々に別の責任を与えられるようになった。Pastor Bonus「善き牧者」では、この省は、教区司祭と終身助祭の霊的、司牧的、そして知的進歩を促し、司祭協議会と教区会、そして教会財産の正しい管理を監視すると命じられている。この省はまた、カテケージス(教理教授)の促進の責任も負っていたが、これについては、教皇ベネディクト16世が、2013年初頭に、新福音化推進評議会(the Pontifical Council for Promoting New Evangelization)にその責任を移行させた。教皇ベネディクトは、もともと教育省に属していた仕事である神学校教育の監視の責任もこの省に負わせた。

奉献・使徒的生活会省

修道会と奉献生活を送る男女に対応するこの省は、1586年、教皇シストによって設立され、

2年後、ローマ教皇庁組織の一つと確認された。1601年、この省の責任は拡大し、司教に対するものまで含むようになったが、1908年、再び修道者に集中して対応することになった。

この省は、修道者、修道女個人の生活の聖性を促進するだけでなく、修道会の会憲の裁可も行う。

教育省

教皇ベネディクトは2013年、この省の名前を少し変更した。「神学校の―"of Seminaries"―を括弧内から取り、神学校監視の責任を聖職者省に与えたのだ。この省は、もともとのローマ教皇庁の一部署であったが、1588年に、ローマ、ボローニャ、パリ、そしてサラマンカ(メキシコ)の主要な教会立大学での研究を調整するために設置された。1967年、教皇パウロは、この省にカトリック学校のための部署を加えた。

以上

 “Changing needs, changing names: Reform of Curia is Vatican tradition” 

by Cindy Wooden , Catholic News Service on Jul. 31, 2014

Vatican City --  Pope Francis and his international Council of Cardinals continue to study the most effective and efficient way to organize the Roman Curia, a large bureaucracy with a long history of expansions and a few, short-term, attempts at consolidation.

For centuries, popes were assisted in their ministry by the cardinals meeting in consistories; the practical matters were handled by what was called the Apostolic Chancery. But as the church grew and matters became more complicated and more time-sensitive, offices were added. The first was the Sacred Congregation for the Inquisition, a tribunal established in 1542 by Pope Paul III to judge heresy and orthodoxy.

Over the next four decades, a few other offices were added, but an organized Roman Curia came into existence only with Pope Sixtus V in 1588.

Currently the principal offices of the Roman Curia are the Secretariat of State, nine congregations headed by cardinals and 12 pontifical councils led by cardinals or archbishops. The offices share the mission of helping the pope carrying out his ministry "for the good and service of the whole church and of the particular churches," according to St. John Paul II's 1988 apostolic constitution Pastor Bonus ("The Good Shepherd").

 

In a December address to officials from the curial offices, Pope Francis said he knows there are saints among them, but a renewed commitment to service and humility always is necessary.

"When the attitude is no longer one of service to the particular churches and their bishops, the structure of the Curia turns into a ponderous, bureaucratic customs house, constantly inspecting and questioning, hindering the working of the Holy Spirit and the growth of God's people," he said.

 

In a first step toward reorganizing the Curia, Pope Francis created the Secretariat for the Economy in February.

The Secretariat for the Economy (Italian: Segreteria per l'Economia) is a dicastery of the Roman Curia with authority over all economic activities of the Holy See and the Vatican City State.[1] Pope Francis ordered the establishment of the secretariat in a motu proprio, Fidelis dispensator et prudens, published on 24 February 2014. It is headed by a cardinal-prefect, who reports directly to the Pope.[2] It is, after the Secretariat of State, the second dicastery named a secretariat, an indication of its importance relative to other parts of the Curia.[3] The seat of the secretariat will be in Saint John's Tower in the Vatican Gardens.[4]

George Pell, Archbishop of Sydney, was named the secretariat's first prefect and "asked to start work as soon as possible".

With only a few modifications, the current structure of the Roman Curia was established by St. John Paul with Pastor Bonus.

While the apostolic constitution affirms the curial offices are "juridically equal among themselves," the congregations are entrusted by the pope with more direct jurisdiction over church matters than the pontifical councils have.

Here is a brief history of the current secretariats and congregations, based mainly on historical notes included in the Annuario Pontificio, the Vatican yearbook:

Secretariat of State

-- Section for General Affairs

-- Section for Relations with States

The current structure of the Secretariat of State -- with one section dealing with internal church affairs and the other acting as the Vatican's foreign ministry -- and its role as the coordinating body for the work of the entire Roman Curia was set out in Pastor Bonus. The ancient roots of the office go back to the actual secretaries of the popes, including those responsible for corresponding with Vatican nuncios, or ambassadors, around the world.

 

Secretariat for the Economy

The secretariat answers to the Council for the Economy and exercises authority over all economic and administrative activities within the Holy See and the Vatican City State, including budget making, financial planning, hiring, procurement and the preparation of detailed financial statements.

Congregation for the Doctrine of the Faith:

The oldest of the congregations, it began as a commission of six cardinals who served as a tribunal for judging suspected cases of heresy and schism. The doctrinal office is charged with promoting and defending the Catholic faith. Until 1968, the pope himself held the title of prefect of the congregation and would appoint a cardinal as secretary or pro-prefect.

Congregation for Eastern Churches:

Established by Pope Pius IX in 1862 as a section for the affairs of the "Oriental rites" within the Congregation for the Propagation of the Faith, it became a separate entity in 1917. The congregation is charged with assisting the Eastern Catholic Churches, Eastern Catholic faithful living in predominantly Latin-rite areas and the churches present throughout the Holy Land.

Congregation for Divine Worship and the Sacraments:

The congregation, which deals with liturgical questions and the celebration of the sacraments, has been the subject of alternating periods of autonomy and consolidation. The Congregation for the Discipline of the Sacraments was established by Pope Pius X in 1908. The Congregation for Divine Worship was established in 1969 by Pope Paul VI. Pope Paul united the two offices in 1975 and then, in 1984, Pope John Paul made them autonomous. Four years later, with Pastor Bonus the two were again joined.

Congregation for Saints' Causes:

The office handling the process for investigating sainthood candidates and preparing their canonizations was established by Pope Sixtus V in 1588. At the time, the congregation also dealt with questions of the liturgy and divine worship. According to the Annuario Pontificio, the two offices were one because the sainthood process concludes with the candidate being added to the church's liturgical calendar. The two sections were made separate congregations by Pope Paul VI in 1969

Congregation for Bishops:

The congregation, also set up in 1588, initially was responsible primarily for the creation or amalgamation of dioceses. In 1908, Pope Pius X added to its tasks coordinating the search for new bishops to be named by the pope, oversight of the way bishops governed dioceses and responsibility for setting policies for seminaries. In 1958, Pope Pius XII established the Pontifical Commission for Latin America, placing it under the Congregation for Bishops' jurisdiction. Pope Paul VI made some slight changes in 1967 and the congregation's current form was established with Pastor Bonus.

Congregation for the Evangelization of Peoples:

The congregation traces its origins back to the commissions of cardinals Pope Pius V and Pope Gregory XIII set up in the late 1500s to coordinate foreign missions, including in India and in newly Protestant parts of northern Europe. In 1599, Pope Clement VIII established the Congregation for the Propagation of the Faith, but it existed only for a few years. Pope Gregory XV re-established it in 1622. According to Pastor Bonus, the congregation promotes evangelization and missionary cooperation around the globe and has special responsibility for bishops, dioceses and developing jurisdictions in Africa, the Far East and parts of the Pacific and Latin America.

Congregation for Clergy:

Known as the Congregation of the Council until 1967, the office was established in 1564 to promote the correct interpretation and implementation of the decrees of the Council of Trent. Over time, those tasks were assigned to different Vatican offices and, little by little, the congregation was given other responsibilities. Pastor Bonus decreed it would promote the spiritual, pastoral and intellectual development of diocesan priests and permanent deacons, oversee priests' councils and parish councils and the correct administration of church goods. It also was responsible for promoting catechesis, a responsibility Pope Benedict XVI transferred to the Pontifical Council for Promoting New Evangelization in early 2013. Pope Benedict also gave the congregation responsibility for overseeing seminary education, a task that had belonged to the Congregation for Catholic Education.

Congregation for Institutes of Consecrated Life and Societies of Apostolic Life:

The congregation dealing with religious orders and consecrated men and women was established by Pope Sixtus in 1586 and confirmed two years later in his Roman Curia organization. In 1601, the congregation was expanded to include responsibility for bishops as well, but in 1908 it went back to focusing on religious. The office approves the constitutions of religious orders as well as promoting the holiness of life of individual religious and consecrated virgins.

Congregation for Catholic Education (and Institutes of Study):

Pope Benedict slightly altered the congregation's name in 2013, removing "of Seminaries" from the parentheses when he gave the Congregation for Clergy responsibility for seminary oversight. The congregation is part of the original Roman Curia and was set up in 1588 to coordinate studies at major church-run universities in Rome, Bologna, Paris and Salamanca. In 1967, Pope Paul added an office for Catholic schools to congregation. (End)

 

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